米ツアー初勝利を手にした小平智 類まれなるショット力で難コースを制した(撮影:ALBA)

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<RBCヘリテイジ 最終日◇15日◇ハーバータウンゴルフリンクス(7,099ヤード・パー71)>
「RBCヘリテイジ」で米国男子ツアー初勝利を挙げた小平智。最終日は首位と6打差・12位タイからスタートし、「66」のラウンドでトータル12アンダー。キム・シウー(韓国)との3ホールのプレーオフを制して、青木功、丸山茂樹、今田竜二、松山英樹に続く日本人史上5人目の快挙を達成した。
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開催地となっているヒルトンヘッドのハーバータウンゴルフリンクスは、日本の林間コースのように林でセパレートされている。小平は大会開幕前の練習ラウンドで「狙いが定めやすく、距離も苦にならない」と語っていたが、今回の勝利は日本人と相性のいいコースだったことが要因だったのか?
米ツアーで5年間戦ってきた経験を持つ田中秀道に聞くと、「ハーバータウン・ゴルフリンクスは、僕のなかでは一番衝撃を受けたコース」という。
「確かに林でセパレートされており、ショットの狙いを定めやすい印象がありますが、柳のように垂れ下がった“スパニッシュ・モス”が目に入り、ハザードもすごく邪魔に感じる。ドロー、フェード両方の球種を打てないと通用しないイメージで、非常にタフなコースです」(田中)
自身の米ツアー挑戦初年度となった2002年、吹きつける風と戦い、メンタル面が疲弊した状態で、及第点の「71」でラウンドした田中。ところがホールアウト後に全体のスコアを見ると、首位は9アンダーとロースコアが出ていた。1年目に最もショックを受けた試合がRBCヘリテイジだっただけに、小平の勝利はなおさら衝撃を受けた。
「相当なショットのクオリティー、そして瞬間で選択できるマネジメント力。自分の飛距離や精度を把握して、いま何ができるのかを正確に判断し、ベストな答えを出せる…。そういうマネジメントが必要なんです。
小平はデビュー当時からショット力の高さがストロングポイントでしたが、自分のサイズを知りながら少しずつ成長させています。昨年は日本ツアーでトータルドライビング1位と、いまや国内男子ツアーでナンバーワン。自分と同じ“小柄”という共通点がありますが、僕はウエートシフト(体重移動)を使っていくタイプなのに対し、彼はアドレスの幅のなかでスイング軸をキープし、胸の前からクラブが一切外れず、縦ぶりでコンパクトに振っていく。(172cmの)身長の割に横ぶりではなく、クラブが縦に下りてくるタイプです。バックスイングで地面を踏み込み、その反発を使い、インパクトで左カカトが浮いてくる一方で、前傾角度は変わらないからスイングプレーンが崩れずに効率よく飛ばせる。身長178cmでも飛ばし屋として名をはせるジャスティン・トーマスなどと同じ“ジャンプ系”ですね。
ショットのクオリティーは“言うに及ばず”ですが、僕は心のブレを持たずにプレーできていることのほうにすごさを感じます。“本物”なんだなと」(田中)
田中が語るPGAツアーで最も難しい点は、「もっとやらないといけない」という気持ちに駆られること。自身は耐えて「71」を出したが、9アンダーをたたき出していたデービス・ラブIIIがインタビューで“リゾートコースだから、楽しんでやったらいいスコアが出たよ”と余裕を持ってコメントしている光景を見た。平常心ではいられなくなり、ストローク差よりも「それくらいの余裕がないとPGAツアーで戦えない」と感じた苦い経験がある。
「“普段の自分でいられなくなるはず”の体のサイズで、ハーバータウンゴルフリンクスを“やりやすかった”とコメントできるのは、米ツアーのクオリティーにいるんだな、と感じました。僕は米ツアーの初めの1〜2年で“頑張っている状態”が続きましたが、彼は“よそ行きのゴルフ”をしていない。ここ最近、強気を装うのではなく、常に自身の力量を把握したうえでの冷静な言葉が多かった。培ってきた自信と今回の結果がリンクしたことは、非常に大きいと思いますよ。
(松山)英樹がメモリアルで初優勝したときに“日本人がミュアフィールドで勝てるんだ”と衝撃を受けましたが、今回の小平の勝利もそれに匹敵するくらいの驚きです。これから相当楽しみな状況になるんじゃないでしょうか」(田中)
田中秀道/91年にプロ入り。95年フィリップモリス選手権でツアー初優勝。166センチ、68キロの小柄な体ながら、体をフルに使ったスイングで300ヤードを飛ばし人気を得た。2001年に米ツアー最終予選を突破して02年から5年間、米ツアーに挑戦した。04年BCオープン、05年クライスラー選手権で3位が最高。現在は日本ツアー復帰を目指す一方、テレビ解説なども行っている。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

RBCヘリテイジ  最終結果
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