ノルウェーの雑誌およびニュース発行グループ、アラーメディア(Aller Media)の総合ニュースサイトのソル(Sol)は、昨年12月に新たに若者の読者層を獲得するためアプリを発表した。このアプリは、アルゴリズムを人間の編集者と組み合わせることで人々が興味を持っているコンテンツをすくい上げ、アプリ内の滞在時間を伸ばす仕組みを持っている。

ソルのCEO、ジャン・ソレセン氏によると、このアルゴリズムによる関連コンテンツの表示もあり、これまでのところこのアプリの経過は順調で、平均滞在時間は堅調に1日あたり11分を記録しているという。このアプリのユニークユーザーの数は1日あたり5万人で、毎週およそ5000人の新規ユーザーが加入しているという。そして18歳から24歳の女性にとりわけ人気が高いとのことだ。ソレセン氏によると、ソルのアプリとウェブサイトには、1週間あたりで75万人のユニークユーザーが訪れるという。

同氏は次のように語る。「コンテンツ業界が直面している課題は、配信をコントロールできなくなっていることだ。GoogleやFacebookがなんとかしてくれるという期待も持てない。我々自身の手で、ニュースの配信方法を改革する必要がある。当社がやろうとしているのは、習慣の構築だ。そしてそのために質を中心にした戦略をとっており、我々はこれをクリックベイト(釣り記事)ではなくシンクベイト(考えさせることで人を呼ぶ記事)と呼んでいる」。

ソルが人気の理由



ユーザーがアプリに登録すると、ボットのチャットアシスタントがユーザーを迎え入れる。ソルによると、50%のユーザーがこのアシスタントの使用を許可しているという。そしてアプリはユーザーの所在地から地元のニュースを拾い上げて表示するほか、ユーザーが読んだ記事から、ユーザーの興味をひきそうなコンテンツを探し出す。編集チームもまた、ノルウェーのパブリッシャー各社から集めたニュースを手動で毎日100本ほど、ニュースの発信者へのリンクという形で紹介する。

「機械学習は世界中のニュースアグリゲーターを復活させつつある」と、ソレセン氏。また、ソルのアプリは中国のアグリゲーターアプリ、ジンリートウティアオ(今日頭条)からインスピレーションを得たそうで、「国内市場でテストをしたいと考えている」と同氏は語る。

このアプリの人気のもうひとつの理由に、Facebookが1月に行ったアルゴリズムの変更がある。これによってFacebookフィード内でニュースコンテンツが優遇されにくくなり、Facebookからノルウェーのニュースパブリッシャーへの参照トラフィックが大幅に落ち込んだと、ソレセン氏は指摘する。「皆がニュースを欲している。それも洗練されたやり方で仕分けされたニュースに慣れた人たちだ」。

利益も上がっている



25人のソルの社員がこのアプリを担当しており、そのなかで販売と編集およびテクノロジーをそれぞれ同数の社員が担当している。このアプリは、6人の社員が半年以上の時間をかけて開発した。ソレセン氏によると、アプリ内コンテンツはディスプレイ広告で収益化しており、実際に利益も上がっているという。

ほかのアプリと同様に、ソルのアプリをダウンロードさせようとするのは簡単ではない。Appleの「News」やアップデイ(Upday)といった類似サービスがあらかじめ携帯電話にインストールされている場合はなおさらだ。だが3月にソルがFacebookやインスタグラムでアプリの広告を行うと、同アプリはApple App Storeのノルウェーの無料アプリのカテゴリーで17位から1位へと上昇した。

ほかにも自社製アプリで成功をおさめたパブリッシャーの例として、ユーザーが1日あたり5分アプリを使用しているスポーツパブリッシャーのブリーチャー・リポート(Bleacher Report)や、アプリ内でユーザーがセッションあたり6分を費やしている女性のライフスタイルに関するウェブサイトのバッスル(Bustle)などが挙げられる。

アプリのユーザー体験



ソルは、アプリのユーザー体験を損ねることなく、より多くの広告ユニットを加えるとともに、プッシュ型の通知を改善したいと考えている。プッシュ通知を許可したユーザーにはスポーツや科学、技術など、過去にユーザーが興味を示した特定の話題に関するプッシュ通知を1日あたり4件表示するとともに、さらにニュース速報を2件表示する。ソレセン氏は、「興味と速報性を基軸としつつ、速報性が求められないエディトリアルコンテンツを増やすとともに、(アプリを)ニュース補助として活用できるようにしたい」と語っている。

ソルのアプリのユーザーは、このアプリに1日あたり11分費やしている。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)