画像提供:マイナビニュース

写真拡大

●GAに至ったProject "Honolulu"

既報のとおり、Microsoftは「Windows Admin Center」をGA(一般提供版)としてリリースした。同社はこれまでGUI(デスクトップエクスペリエンスモード)を用意したWindows Serverをリリースしてきたが、Windows Server vNext(バージョン1709)以降はServer Coreインストールオプションのみを提供するという(詳しくは後述)。その理由として同社は多くの顧客がWindows PowerShell(以下、PowerShell)を用いており、GUIの必要性が以前ほど高くないという根拠から結論に至ったと説明する。なお、ハードウェアリソースを消費しない最小構成で動作するNano Serverは、コンテナとして動作する予定だ。

この観点からMicrosoftは2017年9月、Project "Honolulu"の開発に着手し、今回のWindows Admin Centerに至っている。これまで我々はイベントビューアーやデバイスマネージャー、タスクマネージャーなど日常的な活動に複数のコンソールを開いてきたが、いずれもWin32時代の古いダイアログに縛られてきた。Windows Admin Centerはこれらをシンプルかつモダン化し、Windows 10やWindows Serverのリモート管理を可能とする新ツールである。

バージョン1804で利用できる機能はサーバーの概要、PowerShellによる対話型操作、イベントの表示、インストール済みの更新プログラムの表示と新たなアップデートの確認、サービスの表示と変更、ストレージデバイスの表示と変更、ストレージレプリカを使用してサーバー間のストレージ複製管理、デバイスの表示と変更、ネットワークデバイスの表示と変更、ファイアウォールルールの表示と変更、ファイルとフォルダーの参照、リモートデスクトップ経由によるサーバー操作、レジストリエントリーの表示と変更、ローカルユーザーとグループの表示と変更、仮想スイッチの表示と管理、仮想マシンの表示と管理、実行中のプロセス表示と変更、証明書の表示と変更、役割と機能の表示と変更の20種類。

●モダンなGUIでリモートデスクトップや仮想マシンのパフォーマンス管理

リモート管理という文脈では既にRSAT(リモート サーバー管理ツール)が存在するものの、現時点のWindows Admin CenterはRSATを代替する存在ではない。Active DirectoryやIISなどを管理する機能を備えていないが、筆者は今後段階的なサポート項目が増えていくと見ている。

最初のプレビューとなったバージョン1709は必要最小限の機能を備えていたが、バージョン1711はRemote DesktopやPowerShellをサポート。バージョン1712はHyper-V。バージョン1802は多言語化やゲートウェイ認証。バージョン1803はAzure ADアクセス制御、ログ情報などをサポート。そして現在のバージョン1804では、セキュリティや役割ベースのアクセス制御が加わった。このようにWindows Admin CenterはRSATを過去のものにするため、開発を続けていくはずだ。また、Windows Admin Centerは「拡張機能マネージャー」を用意し、必要に応じて管理対象を拡大できる。

Windows Admin CenterはWinRM(Remote Management: WS-Management)サービスを利用し、Webブラウザー経由でアクセスする仕組みだ。そのため、Windows 10に対して用いる場合は各クライアントで「winrm qc」コマンドを使ってWinRMの設定を行わなければならなかった。管理可能なOSはWindows Server vNext、Windows Server 2016、Windows Server 2012 R2、Windows Server 2012、Windows 10の5種類。ただし一部のOSはWMF(Windows Management Framework)バージョン5.1以降が必要となる。それぞれサーバーやクライアントPC、フェールオーバークラスター、ハイパーコンバージドクラスターといったソリューションごとに管理することが可能だ。

今後Windows Serverは主体としてGUIを採用せず、後方互換性を維持するためにデスクトップエクスペリエンスモードを供えるのは、Windows Server vNext LTSCのみとなる予定だ。本来サーバーOSにGUIを持たせるのはハードウェアリソースを無駄に消費し、大半の操作はPowerShellで事足りる。筆者の私見だが安定したハードウェア構成とチューニングしたLinuxがあれば、Windows Serverを稼働させるメリットはますます希薄化するのではないだろうか。

それでもハードウェアリソースや各種設定をGUIベースで操作したいという一部のWindows Server管理者の声に応えるため、Windows Admin Centerを用意したのだろう。なお、Windows Admin Centerゲートウェイを用いることでMicrosoft Azureと統合し、Azure 仮想マシンの管理や、Azure Site Recoveryを用いたHyper-V仮想マシンの保護などが可能になる。Windows Admin Centerは、これまでのリモート管理環境を一変させる存在だ。システム管理者は早期導入を試み、検証することを強くお薦めする。

阿久津良和(Cactus)