安倍晋三首相(写真:つのだよしお/アフロ)

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 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 国会日程が読めない状況が続いています。ただでさえ、前日にならないと翌日の本会議や委員会の詳細が決まらない状況なのですが、このところ正常化したと思えば、また「寝る」(野党が審議に応じないこと)状態が続いているので、スケジュール担当の秘書は四苦八苦しています。

 相変わらず森友学園と加計学園の問題が報じられていますが、そろそろ国民のみなさんも「モリカケはもう飽きた」と思っているかもしれませんね。そこで今回は、同じ“モリカケ”でも少し和むように食レポをお伝えします。

 参議院の敷地に、古くから「一茶そば」というお店があります。10年くらい前までは、記憶力も威勢もいい名物女将に注文して札をもらうシステムでしたが、高齢で引退したのか最近は見かけません。

 今は、自動販売機で食券を購入して、カウンターでそばを受け取るシステムになっています。もりそばが280円とリーズナブルな上に、そばは手打ち。さらに、高級かつお節と昆布を使った出汁を使用しており、とてもおいしいのでファンが多いお店です。

 ただ、神澤が好きなのはカレーうどんなので、いつも一緒に行った人から「そばじゃないんかい」とツッコまれています(笑)。機会があったら、ぜひ召し上がってみてくださいね。

●小野寺大臣も通う、一茶そば

 先日、13時から始まる衆議院本会議の少し前に一茶そばにランチに行くと、大臣仕様のクルマが2台停まっていました。大臣がSPや秘書官を連れてでも来たくなるほど、一茶そばは常連が多いのです。

 そのうちのひとりが、小野寺五典防衛大臣でした。渋くてソフトな口調が女性秘書たちから好感を持たれている大臣です。実は、小野寺大臣がまだ衆議院議員1期目だった1999年頃、神澤は小野寺事務所の面接を受けたことがあります。そのときに対応してくれた秘書さんの物腰や仕事ぶりに感銘を受け、「目標にしたい」と思っていました。

 しかし、当時の小野寺議員は選挙区の有権者に名前入りのお線香を配ったとして問題になっており、2000年に書類送検されて議員を辞職し、略式命令による罰金40万円の有罪判決を受けて、公民権3年間停止という処分も下されました。

 お線香の問題は以前にも書きましたが、国会議員の名で配布することは公職選挙法で禁じられている「寄付行為」に当たる恐れがあるのです。この辞職で神澤の憧れの先輩も秘書の仕事を失い、その後は参議院議員の大仁田厚事務所で苦労されていました。

 そういえば、大仁田氏は今、「かえんば神埼」と佐賀県神埼市長選挙に出馬しています。投開票は4月15日ですが、果たして「大仁田市長」が誕生するのでしょうか。

●財務事務次官のセクハラ報道、職員は「今さら」

 さて、小野寺大臣は知り合いの議員さんとテレビのニュースを見ながら、一茶そばで食事をされており、こう言うのが聞こえました。

「やっぱり、柳瀬さんまで(捜査は)いっちゃいますよね」

 柳瀬さんとは、柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)のこと。加計学園獣医学部の新設問題をめぐって、渦中の人物です。すでに柳瀬氏は国会の参考人招致が容認されていますが、またトカゲのしっぽ切り、つまり柳瀬氏の辞任で終わらせてはいけないと思います。

 4月10日、柳瀬氏が獣医学部新設について「首相案件」と発言したとされる面談記録について、中村時広愛媛県知事が認めました。愛媛県も今治市も、すでに大学が開校して学生も入学したので、もうどこにも配慮する必要がなくなったのだと思います。

 最近は「モリカケ」のモリのほうばかり報道されていましたが、秘書仲間の間では「そのうち、注目はカケに移るよね。カケのほうが総理にとってはヤバい話だよね」と話していたら、案の定の展開です。

「配慮」といえば、予算編成の際、これまで各省庁は財務省の顔色を見ながら予算を組み立てることが少なからずありました。財務省の査定ひとつで、大幅に減額されることもあったからです。

 しかし、今は「遠慮せずに意見を伝えてもいいのかも?」という雰囲気に変わってきているそうです。「エリートの中のエリート」といわれてきた財務省の職員ですが、一連のゴタゴタで以前のような威光が失われつつあるからです。ある省庁関係者は「自分たちと同じ、いやそれ以上に低レベルとわかったから」と笑っていました。そうはいっても、全省庁を相手にする国会対策委員会の職員は、「やっぱり財務省の職員は優秀だ」と言っていましたが。

 ちなみに、今財務省を揺るがしているのは福田淳一事務次官のセクハラ疑惑です。12日発売の「週刊新潮」(新潮社)が、複数の女性記者に対してセクハラ発言を繰り返していたことを報じました。

 福田氏のセクハラについてはかなり前から噂になっていたので、財務省の職員も「やっと報道されたな」「今さらなんで?」という反応です。さらに、ため息まじりでこう嘆いていました。

「俺たちは、この件はノーコメント。被害者の方には申し訳ないけど、事務次官がいくらセクハラでマスコミに取り上げられても、俺たちの仕事は増えないから。でも、モリカケには本当に参っていますよ。おかげで家族と顔を合わせる時間もないから、深夜にそれこそ、もりそばやかけそばを食べて帰っています。今日も睡眠3時間だよ」

●「総理の意向」は永田町の“掟”?

 もうひとつ、浮上してきたのが「PM」問題です。昨年2月の国会で、安倍晋三首相の秘書官が財務省の佐川宣寿理財局長(当時)に「もっと強気で行け。PMより」というメモを渡していたことを「文藝春秋」(文藝春秋)5月号が報じました。

「PM」とは「プライムミニスター(首相)」、つまり安倍首相のことです。首相から直接指示が飛んできたら、官僚は飛び上がってしまいます。

 財務省内では、メモを書くときに首相を「PM」と表記することはよくあるそうです。ただ、口頭では「そ・う・り」のほうが「ピ・ー・エ・ム」の4文字より短いため、「総理」と呼ぶのだそうです。書くときは「総理」より「PM」のほうが圧倒的に画数が少ないので、そう略しているのです。

 実際に首相が発言していなくても、「総理の意向だ」というニュアンスで指示を出すことは、大臣の場合でもありますし、党内でも「幹事長室の意向」という言葉を耳にすることがあります。これは、永田町の“掟”なのです。

 そういえば、神澤が駆け出しの秘書だった頃、「『幹事長室の意向』ということは、幹事長がそう言ったわけではないんですか?」と聞いてしまい、「秘書の分際で何を言っているんだ。言われた通りにしろ!」と怒鳴られたことがありました。つまり、永田町では「上の言うことを聞く」のが常識で、「そこに疑問を持つ」ことは非常識なのです。

 さて、モリカケ問題はどこまでいくのでしょうか。ある政治資金パーティーで、安倍首相は総選挙について触れるシーンがあったそうです。追い詰められているからつい出てしまったのか、「俺を追い詰めたら、総辞職じゃなくて解散総選挙だぞ」と牽制したのか……。現時点で解散総選挙をしてもメリットがないため可能性は少ないと思いますが、何やら不穏な雰囲気が漂っています。
(文=神澤志万/国会議員秘書)