30年ほど前、日本の多くの世帯はお父さんだけが外で働く、片稼ぎ世帯でした。共稼ぎが同じぐらいになったのが1990年代。今は共稼ぎ世帯の方が多く、こちらがスタンダードに。

しかし、昭和の常識のまま「結婚したら仕事辞めて専業主婦」というライフコースを歩むと思っている女性は未だに多いかもしれません。そんな寿退社前提で人生計画を立てていたために中流から転げ落ち、下流になってしまったという女性たちのお話を今回はします。

運命の人を待っていたら三十路がやってきた

いつか運命の人がやってくるかもしれないと少女漫画のように受け身で自然な出会いを待っていた。しかし気が付いたら出会いがないままアラサーと言われる年齢になり、周りが結婚して焦りだす……。

そうやって「出会いがないんです」というご相談に来られる方は本当に多いです。運命の人は待っていてもやってこないんです。

中には、色んな方がいます。真面目に仕事をして、結婚ぐらい普通にしているだろうと思っていた、というキャリアウーマンの方ももちろんいます。しかし、そんな女性だけではないんです。

結婚したら仕事を辞めるものだと思い込んでいた

一方で、相手もいないのに「結婚したら仕事を辞める」と決めて適当に就職してしまったという女性も……。雇用形態が非正規だったり、正社員なものの、ほとんど昇給しない手取り10万円台の事務職のまま10年在籍していた方もいます。『キャリア』という言葉は自分にはあまり関係のないことだと思っていたようです。

「お母さんが忙しいと子どもが可哀想かなと、家にいてあげたいと思っていたから」と、自分が非正規のまま来てしまった理由を説明する女性に何人も会いました。しかし、彼女たちは子どもどころか彼氏もいない独身者なのです。自分の子どものためという妄想の中ではなく、現実を生きて欲しいものです。

「家にいるかどうかは、妊娠とかしてから決めればいいことでは?」と言うと、「そう言われるとそうですよね!私ってば結婚相手もいないのに……」ととても驚く方も。今決めなくてもいいであろうことを、相手不在にも拘わらず勝手に決めて、専業主婦になる予定で人生計画していたというのです。

もしかしたら、お母さんになる可能性より、ずっと独身で貧困の末、孤独死する可能性の方が高いかもしれないのにです。

非正規雇用独身女性は友だちもみんな下流。底辺で下流を自覚しなくなる

かつて、ご相談に来た教員の女性がいました。就職氷河期に大学を卒業しますが、就職できず大学院に進学。公務員試験、教員採用試験は落ちて、非常勤講師として働くことになったそうですが、正社員で働いている同級生とは疎遠になったとか。肩身が狭くて連絡できなかったそうです。

30代になると周りはみんな実家暮らしで、20代のころと変わらないショップで服を買い、それが「普通」だと思っていたそう。正社員で働いている人からは年賀状さえ来なくなり、付き合う人間関係が狭くなっていったけれど、彼女たちの眩しい活躍を目にすることもないので、その温い下流の人間関係は楽でずっと居座ってしまったと言います。

他にも、20代で職を転々とし、現在は契約社員で働いているアラサー女性が相談に来ました。彼氏はいるものの、「お前は子どもっぽくて結婚は考えられない」と彼から言われたのだとか。

彼女は、周りと比べて自分が「ちゃんとしている」と思っていたそう。同僚は皆実家暮らしで親が職場に送り迎えをする30代もいて、そんな中で彼女は一人暮らしをして親に依存していないから、ちゃんとしていると認識していたとのこと。同じ職場の同僚に相談すると、「そんな男と別れたらいいのに」と言われたらしいのです。彼女の職場や友人にシングルマザーはいても、正社員共稼ぎ既婚者はいなかったのです。

所属している階級が違えば結婚相手対象外

年収200万円台の非正規雇用の女性は、それに釣り合う相手を探せば結婚はできるでしょう。

しかし、残念ながらそういう女性は自分のことを棚に上げて、相手の男性に対しては正規雇用で自分より倍以上の収入がある男性を求めてしまいがちなんです。

容姿が良ければ、あるいは若ければお付き合いぐらいはできるかもしれません。しかし、結婚となれば話は別。

相談に来た彼氏から「結婚は考えられない」と言われた女性は、ニュースは芸能ニュースぐらいしかチェックしないそうです。話し方や名刺の扱い方などのごく基本のビジネスマナーも知らなかったのに、仲間の中では「上品系」「真面目」と言われて自分は品がある方だと思っていたとか。さらに、リボ払いでエステ通いをしたために作った借金もあったそう。彼女の周りでは借金持ち女性は普通らしく、そこでも焦らなかったと言います。

教養、マナー、考え方、仕事の意識、金銭感覚などが違えば、生活を共にする相手とは見てもらえません。

正社員でずっと働いてきた男性は、それが特別なことではなく「当たり前」だから正社員で働いていて、周りの同僚もみんな正社員。この「当たり前」の違いは愛情だけでは乗り越えられないものなのです。

30代で貯金が無くても、周りが同じようだと焦らなくなりませんか?

「私たちが結婚できないのは養う力がある男が減ったから」はウソ

しばしば、「最近は家族を養う力がある男性が減ったから結婚できない人が増えた」と未婚率上昇を分析している方がいます。

そういう見方もあるかもしれませんが、「女を養うのが男の役目」という考え方を持っているのはかなり古いこと。結婚相談所は、男性が定職についていることを入会の条件になっていますが、女性は無職でも入会できるところが多いのです。こういうシステム自体も古いと思いますが……。

実際に相談所内でも、高学歴・高スペックの男性は育った背景が似ている女性を選ぶことが多いのが現実。趣味が同じなどの接点や、何か特殊なことがない限り中流の男性との結婚は難しいでしょう。

某国のファーストレディーのように家柄が良ければ、高卒でも政治家と結婚できるかもしれませんが。

女性も結婚したいならキャリアアップ。低所得なら転職せよ

正社員にならないと結婚できないとまでは言いませんが、30代で非正規雇用独身女性が結婚したいならば、婚活と同時並行で就活をした方が効率的だと私は思います。

人から自分がどう見られているか立ち位置を知り、相手にとって自分のウリを探す。面接のために身だしなみも気を使うでしょう。何度も不採用の連絡をもらっても、めげずに再チャレンジ!その経験は絶対に出会い探しにも役立ちます。内定をもらえば自信にもつながるでしょう。

婚活最優先よりも、社会に興味を持ち企業から選ばれる意識を持っている女性の方がマッチングもしやすいでしょう。

初対面の男性に「派遣で事務やってます」と言うよりも、「今は派遣だけれど正社員目指して転職活動中です」と言った方がずっとウケがいいのです。

正社員の女性の方が結婚して、産休、育休を取得して自分のライフステージを変えていくのです。非正規雇用だらけの下流の人間関係の中で「いつか専業主婦に」と妄想して年老いていくことのないようにしてほしいです。

養ってくれる男と結婚するよりも、自分で転職して生活を安定させる方が簡単でしょう。何より、結婚したといっても、その先どうなるか分からないのですから。現実を生きましょう。


 恋愛・婚活の賢人菊乃

出会いがない女性向けの恋愛婚活コンサルタント。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活ブログが人気になり2011年に出版独立。著書は「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。具体的で分かりやすいアドバイスは何からやったらいいか分からない方に好評。
ブログは今も毎日更新。https://ameblo.jp/koakuma-mt/  山形県出身、静岡大学卒。