最近「しっかり書いて伝えたのに、理解されていない…」ということはなかっただろうか。ぐっちーさんは「文章を読めない大人」が増えていることに警鐘を鳴らす(写真:xiangtao)

新井紀子・国立情報学研究所教授(以下新井先生)による大ベストセラー「AI vs.教科書が読めないこどもたち」が話題になっています。持ち上げるわけではありませんが、東洋経済新報社さんはさすがに良いところに目を付けられるな、と感心した次第。

「早速対談をしたい!」とあちこちで言い始めたのですが、なぜか私が6年来連載を持っている朝日新聞出版の「アエラ」が一足早く新井先生のところに乗り込んでおり、私との対談が実現。4月16日号のアエラは見開きでこの対談を載せております。ぜひご覧ください。

残念!名門出版社にも「読めていない大人」がいた


この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

ちょっと残念だったのは、この対談記事の編集者さんがまさに「教科書の読めないこどもたち」が大人になったような方で、笑えるのは、ワードのファイルを通しての編集のやり取りの過程で、新井先生の肩書を何度も間違えたことです。

最初、新井先生が、「私の勤め先は国立情報学研究所ですよ」と訂正のメールを送ったら(そのほかも数カ所訂正が入っていたのですが)、戻ってきた原稿では「国際情報学研究所」になっていて、それを「違いますよ」、と直すと今度は「国際情報研究所」、となって帰ってくる。

新井先生によれば、ワードのコメント欄が「読めていない」と理解するしかない、ということになります。

実は、他にもこの種の話がてんこ盛りで、新井先生の著作名が「AI VS 教科書が読めない子どもたち」になっていたり(「AI vs.教科書が読めない子どもたち」、が正しい題名で、要するに半角英大文字と、半角英小文字の違いが「読めない」人なんですよ……苦笑)、いやー、新井先生が「読解力は中学でちゃんとしていなかったら、大人になって治るものじゃない」、とおっしゃっていたことが自分の足元で起きてしまい、まあ、すごかった。

朝日新聞出版の名誉のために言っておきますけど、アエラの編集者のレベルは他社に比べるとかなり高く、少なくとも私は今までこういうことに直面したことはなかったわけです。

しかし、アエラでさえこういう状況が起こるとなると、みなさまの会社も笑っている場合ではありませんよ。一刻も早く、社員にリーディングスキルテストを受けさせてみることを強くお勧めします。

ざっくりいいますと、100人規模の会社には30人ほどリーディングスキルテストをクリアできない人が存在しています。あらゆる意味で仕事の障害になることは明らかなので、見つかった場合、重要な役割から外すか、再教育するか。いずれにせよ、早く決断した方が時間の節約とリスクの軽減につながります。まさに、あらゆる経営者に読んでほしい著作であります。新井先生と私のアエラ対談とともに、ぜひどうぞ。

中国の「2035プラン」をどう読むか

話はがらっと変わって中国の「2035プラン」の話をします。これは先日、習近平国家主席が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長に対しても発言した、とされて話題になっていますね。

要するに、「中国は2035年にはGDPから何から何までアメリカを抜くという目標を立てた」、と習近平が宣言したわけですね。まあ、権力体制が固まったので、次の目標はアメリカを追い抜くということのようです。

私は中国から自分のビジネスを撤退させて10年たちますが、法律から何から何まで中国共産党の独断で、やりたい放題に変えられるのに嫌気がさして逃げてきた、というのが正解です。

先日の記事で、そのうち東京のマンションを中国の領土と言い出しかねない、と書いたところ、「領土の意味すらわかっていないエコノミスト」、「法律を知らない」、などというコメントまでいただきました。申し訳ありませんが、中国人相手に「国際法」などと言っている時点で、それこそが大間違いでありまして、ビジネスの世界では全く通用しません。中国国内では裁判にすらなりません。泣き寝入りしか方法がないので、大手企業でも例えばある大手建設会社などは1990年台から中国には一切かかわらない、という方針を決めています。

さて「果たして中国は2035年に…」ということになるわけですが、もうこれはコメントするのもばかばかしいわけでありまして、なぜなら中国の経済統計は共産党の目標に合わせるようにいわばねつ造されているわけでありまして、ソビエト連邦崩壊後、実際のGDPは公表の半分もなかった、ことを知っているエコノミストからすれば、こんなばかばかしい数値目標をいちいち本気で取り上げる気にもならんわけでありますな。

これに関しては、今は首相である李克強首相が2007年に「語った」話が伝えられています。この年、記念すべき第1回ダボス会議が大連で行われ、遼寧省の共産党委員会書記を務めていた(つまりホストだった)李克強氏はアメリカの経済界代表とのディナーに臨んでいました。

アメリカ側が「中国はこんな高い経済成長目標を達成できるのか」、と尋ねたところ、「あんたたち、中国の経済統計を本当に信じてるのか?」と発言したというのです。もちろんオフレコだったわけですが、不幸にも例の「ウィキリークス」で暴露された文書の中に、これが入っていてバレた、というオマケ付きの話なのであります。

中国の経済データがいかに信用できないか、という点については、書籍などでもご一緒させて頂いた高橋洋一先生がすでに詳細に書いておられますが、まあ、そういうことです。ですから「達成するか否か」、ではなく、習近平がそう言ったら、事実はどうあれ、そうなる、ということですな(笑)。実際、事実の部分だけで物を言わせてもらうなら、これはあり得ません。いくら約14億人の人口がいてもGDPでアメリカを抜くのは不可能です。

中国は人口こそ多いですが、生産年齢人口(中国では15〜59歳)はすでに減少に転じており、急な坂を転がり落ちるようにさらに減少していきます。人口統計は誤魔化しの効きにくい統計の一つで、これだけはいくら共産党に都合が悪くてもどうしようもないので、これはもう事実として存在しているわけです。

中国経済の成長率は今より上がることはあり得ないのです。一方のアメリカは実は若年労働人口がちょうど大底を打ち、これから2050年に向かってひたすら増えていく、という先進国としては考えられない人口状況にあります。つまり、アメリカは黙っていても経済成長する訳ですが、中国はその逆。

これを見ただけでも「2035プラン」は達成不可能だというしかないのですが、まあ、数字だけは達成したことにするでしょう、ということで、真面目にコメントするのもばかばかしい……という、「いつもの話」に至るわけでありますな。

トランプ大統領「TPP復帰検討指示」は本気!?

最後にもう一つ。4月13日になって、アメリカのドナルド・トランプ大統領が「TPP(環太平洋経済連携協定)復帰の検討を指示した」というニュースが入ってきました。

「いずれ復帰交渉してくるだろうな」、という話は、例えば東洋経済オンラインで私とともに輪番で連載している吉崎達彦さん(双日総合研究所チーフエコノミスト)もおっしゃっていましたし、私を含め多くの専門家がそう思っていた…ことなので別に驚きはありません。詳細はあとで吉崎さんが書いてくださると思いますが、まあ、世界最大のプロレス団体WWEとの関係で培った「トランプ劇場」健在、というしかありません。こういうことに振り回されないようにお互い注意いたしましょうね。

さて、ここからは恒例の競馬コーナーです。

早いもので、この週末は3歳牡馬を中心とするクラシック1冠目、皐月賞(4月15日、中山競馬場11R、芝2000m)がやって参りました。今年は大本命だったダノンプレミアムが本番直前にレース回避ということで、私もこのレースはダノンに決めていたので、はてさて……でありますな。

しかも、2016年は8番人気のディーマジェスティがぶっ飛んできたり、昨年に至っては1着アルアインが9番人気、2着が4番人気のペルシアンナイト、3着が12番人気のダンビュライトと入り、3連単が106万4360円!!というとんでもない結果になっていますから、もう穴党のみなさんにはよだれが出るようなレース、ということになりますね。

皐月賞は「難クセをつけられている馬」で万馬券だ!

そこで、穴探し。

ディーマジェスティの時は、この馬、G3の共同通信杯を勝っていて、決して弱い馬とは思えなかった。実際吉崎さんとは「この馬、結構いけますよね〜」、という話をした覚えがあります。ところがレース当日はその共同通信杯のメンツがしょぼい、ということであまり人気にならなかった覚えがあるんですね。結果は8番人気で馬券に大いに貢献してくれたんですが、、実力は持っていた。

アルアインも新馬戦から快調で、超良血馬として注目を浴びていたんですが、G3シンザン記念(京都・芝1600m)で直線かなりの不利を受け6着に沈んだために、これが過大に取り上げられ、最後まで信用を回復しないまま、9番人気で当日を迎えることになりました。このシンザン記念のあとのG3毎日杯(阪神・芝1800m)を勝っているだけに、こんな低評価はあとから考えるとおかしいわけですが、そういうことが起きるのが競馬。今年はそういう、「難クセをつけられている実力馬」は何か、ということになりますね。具体的にはこの2頭のように「前走重賞を勝っているのに、なぜか不人気な馬」、ということになります。

すると……いました!5枠10番のジェネラーレウーノです。2戦目で未勝利、500万下と勝ってきて、G3京成杯(中山・芝2000m)を勝っていますが、この1月24日の京成杯から直行しているために「間が空きすぎ」とか「有力馬と戦ったことがない」、とかまさに「難クセ」を付けられて人気が落ちています。この「京成杯から久々」というのがどうなのか。調べてみるといましたよ。2010年。あのエイシンフラッシュが京成杯を勝って、そこから直行だったために人気を落として、勝ちはしませんでしたが、結果3着に突っ込んできています。

そしてもう1頭。これもどう見ても難クセに近く、未勝利(2戦目)、500万下、共同通信杯と3連勝してきているのに、「共同通信杯のレベルが低い」、と言われて評価を落としている、5枠9番のオウケンムーン。

さらに6枠12番のグレイル。この馬は2歳時に華々しくデビューしており、新馬戦からG3京都2歳S(京都・芝2000m)を制したものの、この「レベルの低い」共同通信杯で、1番人気で7着、とまさかの大敗。当日はおそらく人気を落とすはずですが、京都2歳Sをたまたま見ていた私にはこの馬はかなり強い、という印象が残っています。これは漏らさず拾っておきたい、とお勧めいたします。

まあ、終わってみれば「デムルメ馬券」炸裂で、3枠5番のキタノコマンドール(ミルコ・デムーロ騎手騎乗)と8枠15番のステルヴィオ(クリストフ・ルメール騎手騎乗)で決まっちゃうなんてことも十分ありますが、今回は万馬券、狙ってみたいと思います!