「空き家買取専科」で行われている社員向けのベビーマッサージの講座(同社提供)

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 静岡市に男性社員の育児休業取得率が100%の企業がある。

 平成29年に静岡県内企業3社が共同出資して設立した空き家買い取り専門の不動産会社「空き家買取専科」(同市葵区、玉木潤一郎社長)だ。不動産の買い取り事業は長く働けば実績が出るというわけではない“能力主義”の世界でもあり、同社は社員と家族の満足度を高めることで逆に社員の能率がアップする効果を指摘する。(島田清)

 3・16%−。厚生労働省が発表した28年度の男性の育休取得率だ。前年度より0・51ポイント増加し、過去最高を記録したが、女性の81・8%にははるかに及ばない。そうした中、スタッフ9人のうち男性は3人とはいえ、100%の育休取得率は驚異の数字といえる。

 現在も同社でトップの成績を誇る男性スタッフが3カ月の育休を取得中。主力社員が欠ければ業務が滞り、会社にとっては大ダメージとなりそうなところだが、静岡本通店の黒田淳将店長(31)は「逆に俺たちが頑張らなければと他のスタッフのモチベーションが上がり、生産性のアップにつながっている」と社員の育休取得を推奨している。

 黒田さん自身も昨年、1カ月に及ぶ育休を取得した。厚労省の27年度調査によると、男性の育休利用期間は「5日未満」が56・9%で最多。これに対し、同社ではある程度長期の育休を取るよう社員に促しており、同社広報担当の三輪早苗さん(40)は「子育て本気企業として社会の先導者となるべく男性の育休取得に取り組みたい」と意気込む。

 同社では子育て中の社員向けにベビーマッサージと食育の講座も開いており、男性のみならず女性のスタッフからも好評だ。

 さらに同社では複数の職業を掛け持ちでこなす「パラレルワーク」も推奨。他の仕事で培った人脈を同社の事業に生かすとともに社員個々の可能性を広げ、私生活の充実にもつなげる狙いがあり、「働き方改革」の先進企業として注目を集めている。

 同社の石川優治事業プロデューサー(42)は、「少子化の時代でもあり、今後もさまざまな取り組みを通じて、子育てができる環境を整えることの重要性を社会に向けて訴えていきたい」と話している。