トランプ氏がTPPへの復帰検討を指示したが、米国を除いたTPP新協定に合意した日本などの11カ国は、あくまで協定見直しを拒否する構えだ。

 トランプ氏は米国が有利になるような再交渉を復帰の条件にしているためだ。ただ、来週の日米首脳会談で、日本の市場開放を迫る恐れもある。日本はTPP11の発効を急ぎ、その上で米国の自発的な復帰を促す。

 「米国の通商政策の考え方を確認し、建設的な議論を期待したい」。茂木敏充経済再生担当相は13日の閣議後の記者会見で、米国のTPP復帰が日米首脳会談で協議されることに前向きな姿勢を示した。

 日本政府は日米首脳会談にTPP交渉を担当した茂木氏の参加を検討。TPP11の交渉を主導した茂木氏が現状や経緯、各国の事情などについて、トランプ政権に直接説明して理解を求める考えだ。

 だが、日本政府内には、自国を利するための「取引」を好むトランプ氏への警戒感が根強い。トランプ氏がツイッターで対日貿易のあり方に不満をつぶやいたことも懸念材料だ。

 茂木氏は会見で「(TPP11は)参加国の利害関係を綿密に調整して作り上げられた“ガラス細工”のような協定だ。一部のみを取り出して再交渉するのは極めて困難だ」と述べ、強硬姿勢を崩さないトランプ氏を牽制(けんせい)した。河野太郎外相も13日の会見で「一部だけを取り出して再交渉というわけにはいかない」と述べ、米政権の出方を慎重に見極める考えを示した。

 日本などが米国との再交渉に消極的なのは、「米国第一主義」を掲げるトランプ政権が、各国に市場開放などで譲歩を迫る恐れがあるからだ。また、再交渉となれば各国の利害調整に再び時間を要し、発効自体も遠のきかねない。

 ただ、TPPには自由な貿易や知的財産保護などに関する先進的なルールが盛り込まれている。米国が復帰すれば、こうしたルールを世界に広げやすくなり、中国への牽制にもなる。日本はトランプ氏との直接取引を避けつつ、無条件で米国の復帰につなげたい考えだ。(大柳聡庸)