「10分 1000円ヘアカット」をキャッチフレーズにしている「QBハウス」(持ち株会社:キューピーネットホールディングス)が3月23日、東証1部に上場した。上場初値は公開価格2250円を6%下回る2115円だった。なんともタイミングの悪過ぎる日の上場だった。この日の日経平均株価は、今年最大の下げ幅974円安(4%安)となっている。

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 こう記すと「素人はそれだから困る。公開価格6%安の初値はQBハウスが背負っている経営構造を映し出したものだ」とする声が飛んでくるに違いない。

 1996年に創業者の小西国義氏により第1号店が開設されてからを振り返ると、(筆頭)大株主が目まぐるしく変わる歴史だったともいえる。2006年には小西氏の全保有株をオリックスが譲受し筆頭株主になった。だが10年にはオリックスは保有株をVCのジャフコに売却。そして14年には投資ファンドのインテグラルに買収され、上場企業への道を進んだ。上場と同時にインテグラルは持ち株の大方を売却している。

 ゆえに浮上したのが「経営構造問題」である。オリックス・ジャフコ・インテグラルのQBハウス株取得は、LBO(レバレッジド・バイアウト)を媒介に成立している。要するにBQハウスの資産やキャッシュフローを担保による銀行融資で実行された。LBOによる買収の場合、いわゆる「のれん代(買収額-純資産額)」が発生する。

 構造問題組は「QBハウスの純資産は約240億円。のれん代は約150億円。17年6月期の売上高は約180億円。売上高に近いのれん代(負債)を返済しながらの展開となる。銀行との間では年間7億円を返済、21年には95億円の一括返済という約定だ。事業で出るキャッシュフローは約20億円。そんな企業の株になんの魅力がある」とぶち上げる。だが私には「のれん代」算出の根拠や「銀行との約定」はわからない。ただ今いえることは今期中間期の実績からみて通期計画「売上高6・2%増(191億円)、営業利益14%増(15・5億円)、最終利益8%増(11億円)」は射程内入ったこと、中間期時点で店舗数は5店舗増えていることであり北野泰男社長が公言している「出店対象としている首都圏267駅の6割以上、SCの8割以上に進出できていない。ドミナント戦略で地域の認知度を高めて店舗数を着実に増やしていく」と経営戦略を語っていることである。

 私が行く床屋は「カット1000円」「カット&顔擦り1600円」「カット・先発・顔擦り1800円」。この種の「組合未加入」のバーバーが増えている。そんなはしりとなったQBハウスに、エールを贈りたい。