Model Xの死亡事故、テスラは事故原因がドライバーにあったと強く主張。車線逸脱の原因には触れず
テスラが、3月23日に発生したModel Xの死亡事故について半自動運転機能のAutopilot使用中だったもののドライバーが注意をしていなかったのが原因だとする声明を発表しました。

これまでテスラは、Model Xが車線を外れてから約5秒、距離にして150メートルも走行しているあいだ、ドライバーがハンドルを握らなかったと言う表現にとどめていたものの、今回はより強く"ドライバーに責任があった"と主張しています。この声明に対して、米ABC 7は死亡したアップル社員Walter Huang氏の家族が、Autopilotの不調をよく知っていたこと、事故現場で何度もAutopilotが車線を外れて中央分離帯の緩衝バリアへ向かって行きかけたことを改めて伝えつつも、事故発生直前の約5秒間の間、Huang氏が数度の警告を無視してハンドルから手を離し、前方に注意を払っていなかったことが事故が起こり得た唯一の原因であったと伝えました。

また、テスラは声明のなかでHuang氏が複数回の警告があったにもかかわらずハンドルを握らなかったことを強く主張しています。

テスラはAutopilot使用時もドライバーがハンドルを握っていなければならないことを明確にしています。システムが手放し状態を検知すると、視覚的また聴覚的に警告を発します。この警告はHuang氏の運転中に複数回発生しました。

われわれは、大きな喪失の悲しみに向き合うHuang氏の家族の気持ちを思っています。しかし、Autopilotが安全ではないとする誤った印象を周囲に与えるのは、他のドライバーたちに害を及ぼします。NHTSAはAutopilotの初期バージョンでも事故率は40%に満たず、以来大幅に改善されていると報告しました。他のテスラオーナーの家族がテレビに出ていない理由は、彼らがまだ生きているからです。



しかしHuang氏の家族の弁護士は、Model Xのセンサーが路面の車線境界線を読み誤り、その前方にある静止物を検知しなかったのが根本的な原因であり、テスラがAutopilotの不具合から気をそらすためにHuang氏に責任を転嫁しようとしているとの考えを示しました。

Huang氏の家族は事故の前にHuang氏はテスラのディーラーに、事故の予兆となる不具合を報告していたにもかかわらず、ディーラーは問題が再現できず、対策を講じなかったとしています。さらにABC 7に対しては「Walter Huang氏は非常に注意深いドライバーであり、警告が出てもハンドルに手を置かないような人物ではない」としました

一方、事故とは直接関係ない立場ながら、TwitterのプロダクトマネージャーPatrick Traughber氏は、テスラのサイト上にはAutopilotの説明として「完全自動運転に必要なハードウェアすべてが揃っている」と記述があり、ドライバーが一切ハンドルを握らず走行する映像を公開していることを指摘しています。またこの映像の冒頭に「運転席に人がいるのは法的理由によるもので、彼は一切なにもしていません。自動車が自分で運転しています」との表示があることも付け加え、「これほどまでに(完全)自動運転と思わせておいて、いざ事故が起こった場合はすべてドライバーの責任にするというのは賢明なやり方ではない」と意見を述べています。



2016年に発生した、Autopilot使用中のModel Sが道を横切っていたトラックに衝突した事故のときは、テスラは当初、事故の原因をブレーキシステムにあるとしました。しかしNTSBはドライバーがAutopilotに頼り切ってまったく前方を見ていなかったとしてドライバーの行動をモニターする策を講じるようテスラに命じています。今回の事故がテスラの主張どおりなら、2016年のときと似た状況だったとも考えられます。しかし、テスラはすでに(NTSBに指示された)改善を実施し、現在は追加的対策に取り組んでいるとBloombergは報じています。