復旧工事が進む熊本城

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 2016年4月の熊本地震発生から14日で2年を迎える。熊本県の掲げる「創造的復興」に向け、復興は急ピッチで進む。県内景気も半導体関連などのグローバル需要や復興関連需要に支えられて好調だ。街づくりや再開発事業など大型プロジェクトも動き始めた。世界的なスポーツイベントも控える。一方で、18年は県内復興需要がピークとの見方も。それぞれの企業が復興後の青写真を描き、実行する必要がある。

“元気な”熊本―行政・産業界が一丸
 2日発表の日銀熊本支店の熊本県金融経済概観は、企業の建設投資は「被災した建屋などの復旧・復興計画工事が解体の進捗(しんちょく)や補助金交付の決定などにつれて、はっきりと増加」。生産面では「堅調なグローバル需要や復興関連需要を背景に、高水準での生産が続いている」と分析するなど、現在の熊本経済、産業界は総じて好調だ。

 熊本の“元気の良さ”を支えるのは、行政や産業界の早急な回復への取り組みだ。震災当時、県内製造業の被害総額は6000億円。商工観光サービス業も含めれば総額8200億円といわれた。

 県は震災直後、「企業をつぶさない」「従業員の雇用を守る」「傷んだ地域産業を守る」の3本柱を掲げ、金融円滑化特別資金を拡充するなど中小企業の資金繰りに走った。

 県中小企業等グループ施設等復旧整備補助金(グループ補助金)も、地場中小企業の早期復興を後押し。熊本県工業連合会(金森秀一会長)が会員企業を中心に174の企業などによるグループを組成し、先陣を切って申請手続きした。

 予算総額1474億円規模のグループ補助金の交付期間は17年度までの2年間だった。だが、やむを得ず工事着工に遅れが生じた事業者が存在することから、県は18年2月の補正予算で70億3300万円を確保。グループ補助金の執行期間を1年間延長し、18年度までとした。

 また、誘致企業も県産業界の復興をけん引した。震災直後から復旧をはじめ、ほとんどの誘致企業が17年までに震災前の生産能力を回復した。

 県企業立地課によると、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)の熊本テクノロジーセンター(同)は、1カ月前倒しで完全復旧を果たした。

 ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング(茨城県ひたちなか市)の川尻工場(熊本市南区)は東日本大震災の教訓を生かして構築した事業継続計画(BCP)が有効に機能し、震災の翌5月には復旧した。

復興後が大事―再建と同時に業務改革

 一方、日銀の倉本勝也熊本支店長は、18年が県の復興需要のピークとも言われていることについて、「それぞれの企業が業務改革を果たすことが必要」と指摘する。地場企業は誘致企業の早期回復に引っ張られる形で復旧を進めており、工場の建て替えや新設に伴い、業務改革を推進する企業も出始めた。

 移動棚製造の金剛(熊本市西区、田中稔彦社長)は4月、熊本県嘉島町に約60億円を投資した建築面積約1万2000平方メートルの新工場を落成した。田中社長は「将来、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)など通信機能と連動し付加価値を高め、生産性を向上させる」と意気込んでいる。

 また、メッキ加工の熊防メタル(熊本市東区、前田博明社長)は2月に完成した新管理棟ビルで業務を始めた。同社がある熊本総合鉄工団地内に分散する業務や管理部門を集約し、他部門との連携や効率化に着手した。

 IoTやAIを導入し表面処理用の生産ラインの管理をスマートフォンなどとつなぐ“見える化”を推進しており、「外国人や女性エンジニアの採用比率を高め、5月にはIoT関連の専門部署も立ち上げる計画」(前田社長)だ。