2006年に誕生したジーユー。昨年度は業績が低迷したが、今年度は回復の兆しが見えてきた。店内にはマネキンが増え、トレンドに沿ったスタイリングを積極的に提案している(記者撮影)

ブランド立ち上げから10周年の記念すべき年であった昨年度、大幅減益という悔しい結果で終わったGU(ジーユー)。商品開発や売り場づくりで抜本的なテコ入れを進める中、回復の兆しが見えてきた。

4月12日に発表されたファーストリテイリングの2018年8月期上期決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が1兆1867億円(前年同期比16.6%増)、営業利益1704億円(同11.9%増)と、増収増益で着地した。いずれも同社の上期実績としては過去最高となる。

国内外のユニクロが好調

好調な業績を牽引したのは国内外のユニクロ事業。特に積極出店を続けている中国や東南アジアなど海外の伸びは著しく、今期のユニクロの売上高は初めて国内を海外が上回る見通しだ。柳井正会長兼社長は決算説明会で、「世界中の人々にわれわれの商品が受け入れられると思っている。そういう可能性を実感している最中だ」と、海外事業の手応えを語った。

国内のユニクロも、記録的な厳冬によりヒートテックやダウンが好調で、想定を大きく上回った。ファストリは同日、通期の業績予想を売上収益2兆1100億円(前期比13.3%増)、営業利益2250億円(同27.5%増)に上方修正。前期に続き、最高益を更新する計画だ。


ユニクロ絶好調の裏で、存在感が薄かったのがジーユーだ。同事業の2018年2月期上期決算は、売上収益1058億円(前年同期比8.3%増)、営業利益91億円(同23.3%増)。防寒アイテムが少なく十分に需要を取り込めなかったため、既存店売上高は前年同期をやや下回ったが、新規出店が寄与して増収となった。値引き処分も減り、利益は大幅に改善した。

ジーユーは2006年、ユニクロよりも低価格帯の弟分として出店を開始。2009年に発売した「990円ジーンズ」がヒット商品となり、2011年ごろからファッショントレンドを重視した戦略にシフトしていった。

その後、2015年には裾の広がる「ガウチョパンツ」、2016年はスカートに見えるパンツ「スカンツ」が大ヒットを記録し、2期連続で大幅な増益を達成。だが、昨年度は大ヒット商品を生み出すことができずに大量の在庫処分に追われ、営業利益は135億円(前期比39%減)と大幅減益に陥った。

値引きでの集客が目立った昨年度の反省を生かし、今年度は特定の大ヒット商品に頼りがちだった体制を転換。2017年秋冬シーズンからは商品数を従来の2倍に拡充し、期中生産も増やすなどして、トレンドに合わせた商品をこまめに投入する戦略に改めた。

コラボ商品を続々投入

特に最近、ジーユーの店頭で目に付くのがマネキンの多さだ。店内各所では、シックやレトロ、ジーンズカジュアルなど、テーマごとにコーディネートされたマネキンを取り囲むように、商品が並んでいる。高機能でベーシックを軸とするユニクロと異なり、トレンドに沿ったスタイリングを提案するブランドであることを、これまで以上に打ち出している。

今年度はエヴァンゲリオンや元ルイ・ヴィトンのデザイナーなどとのコラボ商品も続々と投入。1000〜2000円台の手頃な商品が中心で、売れ行きは好調だった。ある若年女性向けアパレルの幹部は「有名なアニメやデザイナーとのコラボをあの価格帯で展開できるのはファストリならでは。以前に増して顧客開拓への気合いを感じる」と危機感を隠さない。


ジーユーの柚木治社長は1年半前の決算会見で「売上高1兆円企業になる。ジーユーは普通の会社では終わらない」と語っていた(写真は2016年10月の決算会見、撮影:今井康一)

会社側はジーユー事業の詳細な業績予想は開示していないが、増収増益を見込んでいるという。ただ、過去最高だった2016年2月期の営業利益222億円は下回る計画とみられ、ファストリにとってジーユーの業績が満足するレベルに回復しているとはいえない。

さかのぼること1年半前、ジーユーの柚木治社長は2016年8月期の決算会見の場で「今後10年で売上高1兆円を目指す」と高らかに宣言していた。だが、現状の売上高の伸び率では、目標への到達には遠く及ばない。

今年度からファストリは決算短信で、ジーユー事業のセグメント開示を始めた。これまでグローバルブランド事業の中の1ブランドとして記載していたが、事業規模の拡大で影響度が増したという事情に加え、1兆円の目標達成に向けて発破をかけた、ととらえることもできる。ユニクロに次ぐ経営柱となることはできるか。