痩せすぎが引き起こすカラダの不調

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 女性なら誰もが体重やスタイルを気にするもの。テレビや雑誌などの芸能人やモデルはスタイルが良く、どんな洋服も上手に着こなせるので「痩せている方が良い!」と思っている人も多いのではないでしょうか。

ですが、痩せに対しての過剰な意識やダイエットは返ってカラダに不調を起こすことも。「痩せすぎ」がもたらすカラダの不調やリスクについて考えてみましょう。

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5人に1人が「痩せすぎ」日本の若い女性の現状

 肥満が生活習慣病のリスクを高めることはよく知られていますが、痩せすぎていても癌・心疾患・脳血管疾患などを引き起こす可能性があります。さらに、若い頃に極端なダイエットを繰り返し痩せすぎていると、貧血・免疫力の低下・骨粗鬆症・低体重児の出生率を上げるなど、さまざまな問題が出てきます。不規則な生活や食生活の乱れから若い女性の痩せが増えてきています。「痩せ=良い」という考えを見直して、自分にあった健康な体重に近づけましょう。

BMI
 Body Mass Index(BMI)は身長と体重から計算する肥満指数です。日本肥満学会が決めた判定基準では、BMI22が最も病気になりにくい数値としています。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
痩せ:18.5未満 普通:18.5以上〜25未満 肥満:25以上を肥満

先進国の中でも若い女性の痩せの割合が高い日本
 国民健康栄養調査によると、日本人の平均的なエネルギーの摂取量は年々減少傾向で、とくに若い女性では他国に比べて顕著になっています。平成28年国民健康栄養調査で女性の痩せ(BMI=18.5未満)の割合が、総数で11.6%、20〜29歳では前年より減少したものの20.7%と、5人に1人が痩せという結果になりました。(※1)

痩せすぎが引き起こすカラダの不調・リスク6つ

 若い時期の痩せすぎは、さまざまなカラダの不調やリスクを伴います。

1.女性ホルモンの低下
 適度な脂肪は女性ホルモンの生成に大切。女性ホルモンが低下することで無月経や不妊のリスクが上がります。

2.低体重児出産のリスク増
 20代はこれから出産を迎える世代です。妊娠する前から母体となるカラダに栄養を蓄えておく必要がありますが、痩せすぎていると妊娠時に必要な栄養が十分確保できません。

 また母体が痩せすぎていると、低出生体重児(2500g未満)出産のリスクが適正体重で出産したときと比較して2倍にもなります。低出生体重児はママのお腹の中で低栄養状態になっていて、出産後は一般の出生児より、成人になってから生活習慣病になるリスクが6倍にもなるといわれています。

3.骨粗鬆症
 骨密度が最も高くなるのは中学生から20代まで。骨の成長に大切な時期に極端なダイエットを繰り返すと、カルシウムが不足し骨密度が低下してしまうため、歳を重ねるにつれて骨粗鬆症になるリスクが上がります。

4.貧血
 食事量が全体的に少ないため、女性に必要な鉄分が不足してしまいます。鉄が不足すると、細胞に十分な酸素を運ぶことができなくなるため、疲れやすい・だるいなどの自覚症状が出てきます。カロリーを気にしてお肉を食べないなど極端な食事はおすすめできません。鉄分が多く含まれている肉類(赤身)・魚介類(青魚)などのタンパク質や緑黄色野菜からしっかり摂るようにしましょう。

5.糖尿病
 「食べすぎ」のイメージが強い糖尿病ですが、欠食などの不規則な食生活によってもリスクが上がります。痩せすぎているとブドウ糖の摂取量が少なくなるため、脳のエネルギー源としてほとんど使われてしまいます。すると、膵臓のインスリン分泌機能が低下してインスリン量が減り、糖尿病になりやすくなります。

6.摂食障害
 若い女性で問題となっているのが痩せ願望からくる摂食障害。太ることを恐れて食べることを避けることで痩せていく「神経性食欲不振症(拒食症)」や過食と嘔吐を繰り返す「過食症」があげられます。摂食障害が慢性化すると無月経・低血圧・不整脈などの健康障害を引き起こします。

 適正体重にも関わらず、外見を気にするあまり「太っている」と思ってしまう若い女性が増えています。 まずは自分の適性体重を知り、将来の健康も考えながら規則正しい生活と食生活で適正な体重を維持していくことが大切です。

【参考・参照】
(※1)厚生労働省 平成 28 年国民健康・栄養調査結果の概要(最終閲覧日 2017/10/17)

「あすけんダイエット - 栄養士が無料であなたのダイエットをサポート(www.asken.jp)」

[文:あすけん 管理栄養士]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。