混戦模様となりつつある女性向けパブリッシャー業界において一歩抜き出るため、リファイナリー29(Refinery29)は広告主に対し、編集スタッフにアクセスできる環境を提供していく方針を強化している。昨年の夏、リファイナリー29は広告主に対し、同社オフィス内にショップを立ち上げる機会を提供するサービスを開始した。さらに最近、編集スタッフがスポンサー投稿を作成するといったインフルエンサーキャンペーンの提供を開始している。以前は、ブランデッドコンテンツはすべてリファイナリー29のコンテンツスタジオで制作されていた。ジャーナリズムにおける「チャーチ・アンド・ステイト(政教分離)」、つまり広告と編集記事の壁はますます薄くなり、向こう側が透けて見えるようなパブリッシャーもいるほどだ。コンデナスト(Conde Nast)やメンタルフロス(Mental Floss)などでは、編集チームがブランデッドコンテンツを制作している。一方リファイナリー29では、インフルエンサーと同じ手法で、編集スタッフが広告主にアピールできる機会がある。メディアレーダー(Mediaradar)の調査では、リファイナリー29にネイティブ広告を出した広告主の数が2017年の1年間で76%増加したという。クライアントのブランデッドコンテンツ担当責任者を務めるメディアエージェンシー関係者は、「彼らほど境界線を押し広げているものはいない」と話す。「パートナーのなかには、広告と編集記事の境界線をきっちりわけているものもある。しかし、オーディエンスに信ぴょう性が高いと感じてもらえるコンテンツ作りは難しくなる。リファイナリー29が提供するものは、その境界線をややあいまいにしている」。

「ブランドが歩み寄っている」

ブランデッドコンテンツに注目しはじめてから、リファイナリー29は表現形式の可能性を広げようとしている。 3年前、実験的なマーケティング活動としてはじめたスタッフパーティの29ルームズ(29rooms)は、いまではアメリカ中で多くの類似企画が開かれるほどの有料イベントに成長した。同社は、はじめてインスタグラムのストーリーフィードにブランデッドコンテンツを組み込んだパブリッシャーのうちの一社だ。「我々の仕事の多くは、女性に何かを売るのではなく、サービスとして提供できるものを生み出すよう、企業に対して働きかけることだ」と、同社のチーフコンテンツオフィサー、エミー・エマリッチ氏はいう。「世の中が変化するにつれて、ブランドが歩み寄ってきている」。しかし、同氏によると、このようなブランド各社はここ数年にわたり、リファイナリー29の編集スタッフと親しくなる方法があれば好ましい、という姿勢を見せはじめていたという。

イベントスペースを提供

そこで2017年7月に、従業員によるアンケートのフィードバックをもとに、ベンチャー支援のスタートアップであるリファイナリー29は広告主に対し、リファイナリーポップインズ(Refinery Pop-Ins)というサービスで、編集スタッフに直接商品を販売する機会を提供開始した。広告主は、リファイナリー29ニューヨーク社の、メインニュースルームに隣接したイベントスペースにショップを設置することができるようになった。カクテル無料、という約束に惹かれて集まったスタッフは、クリニーク(Clinique)をはじめとするブランド各社の製品を、ドーナツから美容製品まで試すことができる。このポップインズには、関連するハッシュタグがあり、参加者に使用を推奨している。このポップインズが開かれるイベントスペースは、ほかにも講演会や上映会、質問会などのウィークリーイベントがひっきりなしに開催されており、ポップインズもそのひとつにすぎない。最近では、映画監督のエイヴァ・デュヴァーネイ氏もゲストとして招かれている。しかし、教育イベントやブランドがスポンサーとなる活動が混在しているため、あいまいさを感じる人もいる。リファイナリー29の複数イベントに参加した人に聞いたところ「どれがスポンサーによるイベントで、どれがそうでないのかわかりにくい」と述べた。リファイナリーポップインズへのスタッフ参加は強制ではない。しかし、この件を直接知る複数の関係者(エグゼクティブディレクターのキャロライン・スタンリー氏を含めたスタッフ)は、ポップインズの参加者が少ない日には、編集スタッフ宛に送られる緊急メールの数が増加する、と話す。

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リファイナリー29がブランドに提供する、スタッフにアクセスする手段はほかにもある。たとえば、昨年の秋にはウォルグリーン(Walgreen)と共同で立ち上げたプログラム「ザ・リファイナリー29コレクション(The Refinery29 Collection)」をプロモーションするため、多くの編集スタッフがインスタグラム上でこの活動に関するスポンサー投稿を作成した。
Googleなどのブランドでは、特にフォロワー数の多いリファイナリー29の編集スタッフに、インスタグラムなどプラットフォームの所有アカウントを通じて、これらのFTCに準拠した投稿を公開させている。特集記事作家や動画制作者、また動画出演者といった編集スタッフが完全に自主的に参加し、四半期ごとのボーナスとして報酬を受けとっている。ある情報筋によると、1投稿当たりの報酬には交渉の余地は設けられていないという。これまでのところ、境界線が押し広げられていることについて、同社の読者が問題視している様子はない。「ユーザーからもう少し揺り戻しがあるかと思ったが、特にそういうことはない」と、先述のエージェンシー関係者はいう。「これは非常にエキサイティングだ」。

競合から抜きん出た存在

リファイナリー29には広告主にとって魅力的な要素が数多くあるものの(同社は、すべてのデジタルプラットフォームで、グローバルリーチの総数が5億5500万を超えると述べている)、同パブリッシャーはライバルの多い混戦状態のブランデッドコンテンツ向けマーケットプレイスで抜きん出た存在になっているのは、ここで紹介した最近の活動が要因だ。リファイナリー29が広告主に対する親密性を増しているが、その数カ月前の2017年12月、同パブリッシャーは36名近いスタッフをレイオフしている。過去にリファイナリー29と関わってきた前述のメディアエージェンシー幹部は、「過去何年にも渡って、彼らはコンテンツの書き方、また広告を切り離していた点において、独特の空気を有していた」と話す。「最近では、彼らはブランドと仕事をすることを受け入れている」。Max Willens (原文 / 訳:Conyac)