専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第150回

 今回は、”スキー場の復活”から”ゴルフ場の復活”を学びたいと思います。

 スキー業界が下火になって、20年ぐらい経ちましたか。しかし、昨年あたりから徐々に人気復活の兆しが見え始め、この冬は業界全体でキャンペーンを行なっていました。

 今シーズン話題となったのは、JR東日本のキャンペーンCM。かつて一世を風靡した映画『私をスキーに連れてって』のリバイバル宣伝で、『私を新幹線でスキーに連れてって』というもの。映画の主演・原田知世ちゃんも、イラストで当時の雰囲気のまま、出ていましたね。

 加えて、プリンス系のスキー場では、バブル時代にスキーを楽しんでいた若者層をターゲットにして、これからは家族連れで来てもらおうと、子供のリフト券無料や託児所の充実などを掲げて、新たなカスタマー層の掘り起こしに躍起になっています。


ゴルフ界も、業界全体でさまざまなキャンペーンを行なってみてはどうでしょう...

 そんなわけで、いろいろと工夫しているスキー業界を真似して、ゴルフ業界も活性化を図ってみてはどうでしょうか。具体的な策を検討していきたいと思います。

(1)子供を無料にする
 料金無料はともかく、子供のラウンドに対して割引を行なっているコースは以前から結構あります。ゴルフ業界は”ジュニアゴルファー”にそこそこ優しいのです。けど、それはあくまでも「将来は石川遼を目指す」みたいな、ジュニアに対してですよね。

 すでにフォームが綺麗で、大人顔負けといったジュニアは、今やたくさんいます。父親はさしずめ”ステージパパ”ですか。自分の成し得なかった夢を子供に託すのは結構ですが、そんなに気合いを入れてやることでしょうか?

 私の考えているのは、まったくゴルフをやらない子供たちに練習場を無料開放して、お父さんがラウンドしている間、そこで教室を開いてもらう。そういうことです。

 選ばれしジュニアゴルファーという括(くく)りにするから、ゴルフ人口が増えないと思います。

 スキー場はスキーができなくても、ソリで滑っても楽しい。だから、ゴルフ場でも子供ができることから、つまり「ボールを打って楽しい」というところから教えてほしいのです。

(2)ナイター営業
 巨大リゾート化しているナイタースキー場は規模がでかいし、雰囲気も非常にロマンチックです。ナイタースキーとゴルフのナイタープレーは別モノですが、”ナイター”という点で何か活性化のヒントはないか、探ってみましょう。

 ナイター設備を整えたゴルフ場はありますが、その数は決して多くありません。最近はLED照明が普及し、消費電力も設備投資も少なくて済みます。もっと多くのゴルフ場でナイター設備を、上がり3ホールと練習場だけでもLED照明をつけてみてはどうでしょう。

 さすれば、薄暮プレーの延長営業が可能になりますし、ナイターのレッスン会や、その練習ラウンドとして利用するのもいいでしょう。

 とりわけ、ナイタープレーで需要があるのは、帰りが楽な都心部です。東京、神奈川の名門コースは、ナイターだけ別営業にして、メンバー以外の一般にも開放するとか、そういう工夫をしてほしいです。使い方はいろいろとありますから。

(3)多様性を認める
 スキー場にはありとあらゆるウインタースポーツがあり、それが見事に共存しています。スノボはもちろん、ショートスキーやスノーシュー、ソリなどですね。加えて、ゴンドラに乗って景色を見て、食事をとるだけのお客さんもいます。

 また、スキーはスポーツなのに、誰ひとり競技をしていません。上から滑るだけで十分に楽しいのです。

 このスキー、スキー場の多様性を、ゴルフやゴルフ場にも取り入れましょう。

 まずはギアの多様性。何と言っても、高反発クラブの導入です。現在は黙認状態ですが、シニア層にはもっと積極的に認めてもらわないと。

「当コースは高反発クラブ使用可能です」と書けばいい話です。

 しかし、それができないんですな。理想は高反発クラブ使用可能のオープンコンペをやってもらいたい。そう願う、この頃です。

 もうひとつの多様性は、ゴルフ場の使い方です。それは、ルールやマナー、プレースタイルの多様性を認めることです。

 ラウンドするお客さんは、基本的にゴルフ場から場所と時間を借りているだけで、使い方に関しては明確な取り決めはしていないです。プレー前に「JGAルールに従いラウンドします」なんて、誓約書にサインをしませんから。

 とはいっても、同伴プレーヤーの視線もあり、基本的にはルールに従ってプレーせざるを得ません。ただ、2019年からのルール改正もあるので、旗竿を立てたままパターを打つなど、新ルールの前倒しはしてもいいかな、と。

 加えて、OKパットの距離も状況に応じて決めていいと思います。

 ドナルド・トランプ米大統領の日本でのプレー、見ましたよね? 安倍晋三首相のパットの際、カップを大きくオーバーしていったボールを拾って「OK」を出していました。「俺がルール」と言わんばかりです。

 あれを見習おうとは思いませんが、ローカルルールの概念をひっくり返した功績はでかいと思います。つまり、同伴競技者の間で取り決めたことがローカルルール、あるいはプライベートルールで、プレーの進行に支障をきたさない限り、それらはいかようにも決められるということです。

 例えば、時間をかければ探せたはずの、枯れ葉の中に入ったロストボール。その場合、本来2ペナですが、スムーズな進行を優先し1ペナにして進むとか。同伴競技者が納得して、皆がそのルールに従うなら、それがルールとなります。

(4)家族サービス
 ゴルフ場で”家族サービス”というのは、なかなか難しい問題です。家族がゴルフをたしなむなら、家族会員として割安でプレーすれば問題ないのですが、ゴルフをやらないとね……。

 大きなリゾートスキー場では、ホテルに託児所を併設して、集客に貢献しています。最近行なわれた、バブル世代のディスコイベントでも託児所を設けていました。

 だからといって、ゴルフ場にも託児所を設けろとは言いません。ただ、キャディーさん用としてすでに託児所があるなら、ついでにお客さんの子供も預けられるのはいいと思いますよ。

 また、一緒に連れてきた奥さんと子供が遊べる場所、砂場や公園にあるような遊具があるとか、人懐っこい犬(某コースには看板犬がいます)がいるとか、空いている芝生でインストラクターと遊べるとか、そうした施設、環境が整っているだけでも、十分じゃないですか。

 よく競馬場の真ん中に、小さな公園みたいなのがあるじゃないですか。あれと同じ発想です。

 そして、昼食のときは家族でバーベキューを楽しんでもらうなどして、ゆっくりと団らんの時間を作ってあげるのもいいですね。

 そういうことをして、家族全員が楽しく過ごせる場所になれば、ゴルフ、そしてゴルフ場は、総合レジャーとして、今後ますます発展すると思うんですけどね。

◆エンジン出力50%だった松山英樹。帝王ニクラウスのように悔しがる>>

◆【木村和久連載】夢よ、覚めないで…。若い美人キャディーさんと妄想>>

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

『ヘボの流儀〜叩いても楽しいゴルフの極意』3月5日発売
詳細はこちら>