昨年末に発売したマツダ「CX-8」(撮影:尾形文繁)

昨年12月に登場し、販売1カ月での累計受注台数が1万2000台を超えるほどの大人気車種となったマツダ「CX-8」。月販販売計画台数が1200台というから、その10倍もの注文が殺到した計算になる。通常、新型車が登場した月は月販販売計画台数を上回ることは多いものの、10倍という数はかなり多い数字だからその人気ぶりがよくわかるだろう。


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その約1万2000台のグレード内訳は、最上級グレードの「L Package」が42%、装備を充実させた「PROACTIVE」が52%となっており、ベースグレードである「XD」は6%にとどまっている。これも、発売と同時に注文を入れるほど熱心なユーザーは上級グレードを選ぶ率が高いため、ある程度納得できる数値となるが、「L Package」と「XD」の価格差はなんと76万1400円もある(同じ駆動方式で比較)。はたしてそれだけの価値があるのか、実際に買うつもりでグレードを吟味してみたいと思う。

エンジン、ミッションは1種類だけ!

新車のグレードを選ぶ際に迷いがちなエンジンや変速機。幸いにも(?)CX-8は1種類だけの組み合わせとなる。最大トルク450N・m(45.9kgf・m)を誇るSKYACTIV-D 2.2エンジンはマツダのラインナップの中でも最強のトルクを誇るもので、2トン近い巨体を持つCX-8を軽々と加速させてくれる。それでいて燃費性能も17.6km/L(JC08モード燃費・2WD車)と良好かつ、軽油ということで、ランニングコストの低さも魅力のひとつだろう。


CX-8に搭載されているSKYACTIV-D 2.2エンジン(写真:マツダ提供)

そしてそれに組み合わされるミッションは、SKYACTIV-DRIVEの6速ATのみとなり、ギア比は2WD、4WDともに共通となっている。このSKYACTIV-DRIVEは、DCT、CVT、従来型のATなど、すべてのトランスミッションの利点を集約し、ロックアップ領域を大幅に拡大し伝達効率の向上とマニュアルトランスミッションのようなダイレクト感を実現しつつ燃費向上を果たしたマツダ自慢のATで、MTのようなダイレクト感のある走りが楽しめる渾身のミッション。従来のATやCVTなどで「2ペダルは走りがつまらない」と思っている人はぜひ一度乗ってもらいたい逸品だ。

ということで、エンジンやミッションは1種類しかないため、選ぶ必要がない。駆動方式は2WDと4WDがすべてのグレードで選択できるが、23万2200円の価格差がある(全グレード共通)。駆動方式が変わる以外では、リアフォグランプ、ヘッドランプウォッシャー、大型ウォッシャータンク&ウォッシャー液残量警告灯、フロントワイパーデアイサーが装備される。このアイテムは2WDだとオプションでも選べないため、豪雪地帯のユーザーやウインタースポーツを頻繁に楽しむユーザーであれば、4WDを選択したほうが満足度は高いだろう。特に標準装備のLEDヘッドライトは発熱量が少ないため、ヘッドライトに付着した雪が溶けにくい。そのため、ヘッドランプウォッシャーはかなり重宝するはずだ。

3列シートSUVであるCX-8は2種類のセカンドシートが用意される。1列目と3列目の定員は2名で固定となるが、2列目シートは2名掛けのキャプテンシート仕様と3名掛けのベンチシートの2種類からの選択が可能だ(L Packageはキャプテンシートのみの設定)。


7人乗り仕様の2列目シート(写真:マツダ提供)

そのシートの選択方法だが、比較的頻繁に7人を乗せることが多い場合や、車中泊に使うことなどを検討しているのであれば7人乗りをオススメしたい。乗車定員はもちろんだが、2列目がベンチシートになる7人乗り仕様ではセカンドシートまで折りたたんだ場合にフラットな荷室にすることができる。そのため、ディーラーオプション品のベッドクッションもベンチシート専用となっているほどだ。


6人乗り仕様の2列目キャプテンシート(写真:マツダ提供)

一方、7人フル乗車をする機会がなく、フラットな荷室もそれほど重視しないのであれば、キャプテンシート仕様の6人乗りも選択肢に入る。元々CX-8はサードシートも170cm程度の大人がしっかり座れるように設計されているため、多人数乗車の際もサードシートに座る人の不公平感も少なく、セカンドシートのキャプテンシートの快適性は言わずもがなだ。


アームレスト付コンソールボックス(写真:マツダ提供)

また、3列目にチャイルドシートを装着するようなシチュエーションでも、セカンドシートがキャプテンシートであればウォークスルーで3列目にアクセスできる。ただし、L Packageにはセカンドシート中央にも立派なアームレスト付コンソールボックスが備わるため、3列目へのウォークスルーはできない。そのため、L Packageは2列目にゲストを乗せることが多いユーザーにオススメしたいグレードだ。

で、結局グレードはどれにする?

もし、少しでも安くCX-8を購入したいと考えているのであれば、車両本体価格319万6800円からで設定されているベースグレードの「XD」となる。ただし、ミリ波レーダーを使って前方車との衝突危険を察知するスマート・ブレーキ・サポート(SBS)や、全車速で使える追従式レーダークルーズコントロール、キーを出さなくてもドアの施錠、開錠ができるアドバンストキーレスエントリーシステムなどは装着されず(メーカーOP 8万6400円で装着可能)、シートヒーターやステアリングヒーター、ヒーテッドドアミラー、前席パワーシートなどの快適装備がことごとく付いていない(こちらはOP装着も不可)。また、見ための面でもアルミホイールが17インチとなってしまい(他グレードは19インチ)、大柄なボディの足元が貧相になってしまうのも残念なところだ。

一方、トップグレードとなる「L Package」は、ディープレッドとピュアホワイト、2種類のカラーを選択できるナッパレザーのシートが標準装備となり、セカンドシート用のアームレスト付コンソールボックスにはカップホルダーはもちろん、USB端子やセカンドシート用シートヒーターのスイッチ、ティッシュボックスも収納できる大型の引き出し式ストレージボックスを備えている。そのため、セカンドシートの快適さはフロントシートをしのぐほどで、ファミリーカーというよりは後席にVIPを乗せるような使い方にも対応できるほどとなっているが、それだけに価格も跳ね上がり、4WD車になると車両本体価格は419万400円と400万円オーバーとなってしまう。もちろん、フラッグシップSUVモデルとしては決して高額ではないものの、ファミリーカーとして考えるとなかなか手を出しづらい価格帯と言えそうだ。


「L Package」の内装(写真:マツダ提供)

となると、やはりベストバイは装備充実の中間グレード、PROACTIVEだろう。安全装備はほぼ標準装備となり、快適装備もほとんどが装着されながらも、価格は353万7000円。これはほぼ同等のボディサイズを持つトヨタのフラッグシップミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」で最も手頃な「X」(335万4480円)を下回る。これでマツダのフラッグシップSUVが購入できるというのであれば、ミニバンユーザーからの流入も納得できるだろう。

そもそも標準で装備が充実しているCX-8だけにメーカーオプションの選択肢はそれほど多くない。その中でも選択しておきたいのは、3万2400円で選択できるCD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナーだろう。これを選択しないとAM/FMラジオとUSBかBluetoothで外部プレーヤーをつなぐしか音楽を楽しむ方法がないのである。また、ディーラーオプションではあるが、ナビゲーション用のSDカード(4万8600円)も選択しておきたい。マツダ純正ナビであるマツダコネクトは賛否あるが、5万弱で装着できるナビと思えば十分満足できる内容だと私個人は考えている。

CX-8は全長4900×全幅1840×全高1730mmと車体が大きいため、不慣れなユーザーには前後左右の4つのカメラで死角を映し出す360°ビューモニター+フロントパーキングセンサーのセットオプション(4万3200円)をオススメしたい。BOSEサウンドシステム+10スピーカー(8万1000円)やルーフレール+パワーリフトゲート+リアドアウインドーサンシェード(11万8800円 L Packageは標準装備)などは高額なオプションのため、必要かどうかを見極めて選択したいところだ。

私が買うならこのグレード!

私が個人的にCX-8を購入するなら、ということでシミュレーションしてみたい。XD PROACTIVEの2WD、6人乗りにCD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー、ナビゲーション用SDカード、フロアマットにETC程度のオプションを選択したい。

ボディカラーはソウルレッドプレミアムメタリック(+7万5600円)やマシーングレープレミアムメタリック(+5万4000円)は余分な費用がかかってしまうため、落ち着いた色合いのチタニウムフラッシュマイカを選ぶことにしたい。CX-8に限らず最近のマツダのボディカラーはソウルレッドを除くとダーク系が多いので、もう少しバリエーションを増やして選ぶ楽しみを増やしていただきたいところである。


ボディカラーはダーク系が多い(写真:マツダ提供)

なお、CX-8は全グレードで現状ではエコカー減税対象車となり、自動車重量税や自動車取得税が免税となる。そのため、上記の組み合わせでも支払い総額は380万円程度になる。これが高いか安いかは主観的には言えないが、このクラスのSUVとしては買い得に感じるユーザーが少なくないのだろう。