薄すぎた?(閉店したあきたタニタ食堂)

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 東京などではランチタイムには行列ができるほどの人気ぶり。レシピ本がベストセラーになり、第3弾まで発売されている「タニタ食堂」。減塩、低カロリーがウリの健康的な定食を提供するレストランとしてフランチャイズ方式で全国に10店舗を展開してきたが、とうとう初の「撤退」を余儀なくされてしまった。

 2014年12月に秋田市中心部の再開発地区「エリアなかいち」の商業施設にオープンした、あきたタニタ食堂が、この3月いっぱいで閉店したのである。他の地域は未だ好調を続けている。なのに、なぜ秋田では失敗したのか。

 タニタがその理由を「開店当初の客足はよかったが、その後は低迷が続いていた。地域に合わせたメニュー作りが十分ではありませんでした」(広報課)と説明するように、秋田県民の“食文化”が影響したようだ。同店を訪れた秋田県民はこう話す。

「普段、濃い味付けになれているので減塩がウリのタニタの食事では、物足りなかった。全体的に味が薄くて、調味料を足したくてしょうがなかった」

 東京女子医科大学医学部教授の渡辺尚彦氏が指摘する。

「秋田の人は、大根を燻して漬け込んだいぶりがっこやしょっつる鍋など、塩分の多いしょっぱいものをたくさん食べます。食べ続けていくうち、それに味覚が慣れる可能性がある。そういう人は一般的に減塩がうまくいきません」

 秋田県民の1日の平均塩分摂取量(2016年、20歳以上、男性)は11.6グラムで全国5位。全国平均より約1グラムも多い。その影響か、心疾患や脳血管疾患の発生率も高くなっている。

 そもそも秋田県は「健康寿命日本一」を目指してタニタ食堂を誘致したという経緯があるのだが、思惑は完全に外れてしまった格好だ。

 タニタは、「地域ごとの食材や好み、食環境もありますので、それに合わせたメニューも今後開発していきます」(広報部)とのことだが、果たして「味覚の壁」を超えられるか。

※週刊ポスト2018年4月20日号