ソーシャルメディア上において、美容業界のレガシーブランドはいまだオンライン戦略に精通したライバルブランドに後塵を拝している。なかには、コティ(Coty)やロレアル(L’Oréal)のように、全ブランドをあげての改革と、デジタルネイティブな新興企業の買収によって、ソーシャルメディア上の成功まであと一歩まで迫ったレガシーブランドもあるが、それでもまだ、改善の余地は残されている。

ソーシャルメディアの調査会社、プリーン・ドット・ミー(Preen.Me)の最新調査によると、去年ブランドのオーバーホールを行ったコティのカバーガール(Covergirl)は、大々的な宣伝にもかかわらず、ソーシャルメディア上で話題をさらったのはカラーポップ(ColourPop)、NYXコスメティクス(NYX Cosmetics)、ライムクライム(LimeCrime)、モーフィ(Morphe)、メルトコスメティクス(Melt Cosmetics)といった新しいブランドだ。

プリーン・ドット・ミーの共同創業者でありCOOのハッガイ・クローマン氏は、「カバーガールのようなメディアへの多額の投資で成功を収めてきたブランドは、ソーシャルメディア上での話題づくりの戦略において、迅速に対応できないケースが多い」と指摘する。逆に、NYXやモーフィのように、成功を収めている「マスティージ(masstige)」ブランド(低価格で高品質な商品を売るブランド)は、直接、またはインフルエンサーを通じて自社のソーシャルコミュニティからオーディエンスにリーチしている。

SNSに弱いレガシーブランド



2016年から2018年にかけて、ソーシャルプラットフォーム上でカバーガールについて言及された回数は、調査対象の6ブランド中で最低(4万1000回)となっており、ブランド中心のコンテンツを作成するユニークユーザー数も最低(1万5000人)、アカウントとの交流回数も最小(1470万回)となっている。一方、同期間でもっとも話題となったブランドはNYXで、言及された回数は実に350万回にもおよぶ。同ブランドがタグづけられたコンテンツを作成したユニークユーザー数も最高(53万7000人)を記録した。一方、モーフィはこれらの数字には若干及ばないものの、ソーシャルメディア上での交流数(タグ、コメント、いいね!)は最大となっており、その数は10億回を超えている。

メイクアップアーティストやインフルエンサーのためのブランドとして2008年に立ち上げられた同ブランドを、クローマン氏は「ソーシャルメディアへの投資の費用対効果がもっとも高いブランド」としている。

1989年に創設されたカバーガールのファンベースでは、これらのブランドと違い、ソーシャルメディアがあまり利用されていないためだと考えることもできるが、プリーン・ドット・ミーによると、カバーガールのブランドアフィニティー(ブランドとの密接な関係性)は、カラーポップやNYXに劣らず高くなっている。NYXとモーフィのオーディエンスのそれぞれ33%、27%は、カバーガールのオーディエンスでもあるのだ。

クローマン氏は、このことをふまえて、レガシーブランドはオンラインでファンベースの発信につながるような話題作りをすべきだと指摘する。「長期的に見て、ソーシャルメディアで成功するブランドでは、ブランドが言いたいことを多数のファンが代弁してくれている」と同氏。たとえば、ブランドのハッシュタグがついたユーザーコンテンツをブランドのアカウントで取り上げることで、ユーザー自身がコンテンツにブランドのハッシュタグをつけるように誘導するのもその一環だ。ほかにも試供品を提供してソーシャルコンテンツの作成を促す、ブランドのチャネルを通じて商品やコンテンツのアイデアをクラウドソーシングするといった手法がある。

新興ブランドから学ぶべき



インフルエンサーとのパートナー関係は言うまでもない。プリーン・ドット・ミーは、モーフィとNYXの両ブランドは、ここ2年でもっともインフルエンサーを活用したブランドであるとしている。

ビジュアルインテリジェンスプラットフォームのダッシュ・ハドソン(Dash Hudson)で編集主任を務めるヘレネ・ヒース氏は次のように分析する。「こうした現代的なブランドは、インスタグラムをはじめとするプラットフォームを使って成長してきた。プラットフォームでより強く自分たちを表現し、女性客がオンラインで何を買いたいと考えているか直接把握している。そしてファンを対象とするコンテンツを強調し、インスタグラム上におけるその分野のスーパースターと特別なコラボを展開し、従来のブランドを追い越してきた。従来の企業は基礎的な活動に頼る割合が高く、俊敏性に欠けていた」。

カバーガールは、再開以降、上記のような戦略を採用している。スタートこそ遅かったものの、同ブランドは前へと進んでいる。カバーガールのソーシャルメディアの勢いや、同ブランドを取り巻く話題性(投稿やエンゲージメントの集中度から測定)は、2016年の114%から、2017年には270%上昇している。

だが、成功し成長を続けている新興ブランドもまた数多あり、カバーガールがこうしたライバル企業に追いつくのは容易ではない。たとえばNYXコスメティクスのソーシャルメディア上での勢いは、昨年なんと857%も上昇しており、それに続くライムクライムもまた、話題性において366%も上昇している。

Jessica Schiffer(原文 / 訳:SI Japan)