「ヤチマナコに落ちる危険があるので遊歩道から外れないで歩きましょう」。環境省は釧路湿原国立公園(北海道)の利用者にこんな注意を呼び掛けている

▼漢字で書けば「谷地眼」。谷地は、元はアイヌの言葉で湿地を指す。湿地にぽっかりと開いた目のようなつぼ型の沼地だ。深さ数メートルのものもあり、はまると抜け出せなくなる恐れが。いわゆる底なし沼である

▼何とか抜け出そうともがいても、「文書」という泥沼は底がなく、ずぶずぶと沈み続ける-。安倍晋三首相はそんな思いでいるのではないか。森友学園への国有地売却に関する財務省の公文書改ざん、防衛省による陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠し。安倍政権を揺るがす文書問題に、今度は加計(かけ)学園が落っこちた

▼愛媛県今治市での獣医学部新設を巡り、県、市の職員、学園幹部が首相秘書官と面会した際に県が作成した記録文書が存在する、と報じられた。秘書官は「記憶する限りは会ってない」と面会を否定、記録文書も残っていないとされていた

▼見つかった記録文書には、秘書官が「本件は、首相案件」と述べたとの記述も。事実なら首相と親しい加計学園を特別扱いした動かぬ証拠となるのでは

▼財務省が森友学園に口裏合わせを依頼していたことも判明した。本来の道から外れて不信の沼にはまった政府。もはや責任逃れをやめ、全てをコクミンマナコの前にさらすしかあるまい。

=2018/04/11付 西日本新聞朝刊=