築100年以上の古民家を改築した、未来定番研究所のオフィス

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 大丸松坂屋百貨店やパルコを傘下に持つJ・フロントリテイリングが事務所の「働き方改革」に動いている。下町の風情が人気の東京・谷中に3月、大丸松坂屋のオフィスを設けた。1月に移転したJ・フロントの本社では、フリーアドレスやペーパーレス化に取り組むなど、効率化を進める。小売りを取り巻く環境が大きく変化する中、従来の常識にとらわれない発想を生む狙いだ。

築100年の拠点
 大丸松坂屋が谷中に新しく開いたオフィスは、“5年後の定番の生活を考える”部署「未来定番研究所」の拠点。築100年を超える古民家の2階に、フリーアドレスの執務スペースを設けた。1階は畳敷きで、アーティストや近所の人など、社外の人が立ち寄りやすい雰囲気にした。

 2017年3月に発足した未来定番研究所は6人が所属し、所長は電通出身の今谷秀和氏が務める。料理人や漫画家など小売り業界以外の人に会い「いつか旅したい場所はどこか」「人生で一番泣いた作品は何か」といった質問をぶつけ、ヒントを探ってきた。

脱・本社
 同研究所は大丸松坂屋の本社内にあった。しかし「社外の人が入るのに手続きが必要な場所では、良い発想は生まれない」(今谷所長)と、新オフィスの選定に着手。銅職人が過ごしていた谷中の古民家にたどり着いた。

 「『未来』と聞いてデジタルをイメージするのは中高年。若い世代にとって、デジタルは生まれた時から身近な存在で、むしろ紙の手触りなどに魅力を感じている」(同)。銅職人の仕事道具を室内に並べ、“予算達成”“取引先”といった視点から離れた環境で、「最先端を生み出す」(同)考えだ。

変革マインド
 J・フロントは間接部門で、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)に取り組んでいる。17年に税務申告の計算など45業務を自動化した。タブレットを導入し、会議などのペーパーレス化に取り組んでいる。山本良一社長は「変革し続けるマインドがなければ、退化していく」と話す。

 J・フロントが「百貨店はやらない」(山本社長)との意気込みで、森ビルなどと旧松坂屋銀座店の跡地に設けた商業施設「ギンザシックス」は20日、開業1周年を迎える。独自のアート展示などを実施し、約2000万人が来館した。
(文・江上佑美子)