米グーグルの持株会社アルファベットには、さまざまな子会社があるが、そのうちの1つに、スマートシティーなどの都市開発事業を手がけるサイドウォーク・ラボ(Sidewalk Labs)がある。

 英ロイター通信によると、このサイドウォーク・ラボが参画する、カナダ・トロントの都市開発事業が、いよいよ、その第1段階に入るという。同社の最高経営責任者(CEO)兼会長のダニエル・ドクトロフ氏が、ロイターとのインタビューに応じて、語った。

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政府とグーグルの共同事業体

 カナダ政府、オンタリオ州政府、トロント市による、同市のウオーターフロント再開発計画事業「ウオーターフロント・トロント」は昨年(2017年)、サイドウォーク・ラボをパートナー企業に選び、「サイドウォーク・トロント」という共同事業体を発足させた(PDF書類)。

 その目的は、カナダの最大都市、トロントのダウンタウン地区南東に位置する、オンタリオ湖を臨む地域に、最先端技術を導入した街をつくること。これは、ポートランズと呼ばれる地区で、敷地面積は800エーカー(約3.2平方キロメートル)。プロジェクトでは、まず、その一部であるキーサイドと呼ばれる12エーカー(4万9000平方メートル、東京ドーム1個分)の地区で開発を始める。

 今回のロイターの報道によると、この共同事業による都市開発が、本格的に始まるのは2020年。サイドウォーク・ラボは、今夏にも、そのための技術試験を始める見通しという。

最先端技術導入の都市空間

 サイドウォーク・ラボが、パートナー企業として選ばれたのは、同社が提案した、最先端技術が認められたからだとロイターは伝えている。それらには、「自動運転車」「ロボット利用のデリバリーシステム」「低コストのモジュラー式ビルディング」「再生可能エネルギーによる熱を建物同士で融通し合うサーマルグリッド」「ゴミ処理システム」といったものがある。

 これらを利用して多目的都市空間をつくるのが、プロジェクトの目的だが、そのスケジュールの概要が示されたのは、今回が初めて。早ければ2022年にも、第1弾の入居が始まる可能性があると、ドクトロフ氏は述べている。

成功するか、グーグル初のチャレンジ

 グーグルは、2015年10月に、アルファベットを親会社とする組織再編を行ったが、その5カ月前に、サイドウォーク・ラボを設立した。同社は、都市が抱えるさまざまな問題を最先端技術で解決し、都市生活の質を向上させることを、その使命に掲げている。

 その一環として、これまで、米ニューヨークや英ロンドンの公衆Wi-Fiサービスを手がけたりしたが、本格的な大規模都市開発計画に参画するのは、これが初めとなる。

 サイドウォーク・ラボは、この事業モデルをプロトタイプとし、将来、世界のさまざまな都市で事業展開していきたい考えだ。

 ただ、前述したように、この事業は、同社にとって初のチャレンジ。それゆえに楽観的にはなれないと、ドクトロフ氏は話している。しかも、こうしたスマートシティープロジェクトは、失敗例も少なくないという。ドクトロフ氏はその要因として、予算不足や、公的資金を投入することの合理性、参画団体の多さ、といったことを挙げている。

筆者:小久保 重信