15試合連続未勝利、残り6試合で最下位という、クラブ史上初となる2部降格にもうあとがない状況の中で迎えた、週末の2位シャルケ04とのホーム戦。奇跡の残留に一縷の望みをつなぎとめるためにも、どうしても勝利を収めたかったこの一戦で、kickerよりマン・オブ・ザ・マッチに選出される大活躍を大勢のファンたちの目の前で披露したのが、伊藤達哉だった。

ハーフタイムの時点で、チームメイトの若手DFリンク・ファン・ドロンゲレンは、伊藤に「おい!シャルケがお前を怖がっているぞ!」と声をかけたことを、地元紙ハンブルガー・アーベントブラットに明かしており、特に2得点目となった場面については「あの場面は、まさに彼の1vs1での強さを示す典型的な場面だと思うね。」と賞賛。「あの2点目でのお膳立ては、まるでメッシ。リオネル伊藤だよ」と言葉を続けている。

これには、伊藤本人は「リックがそう呼んだ時には、大笑いしちゃいましたよ。この世界であのメッシと比較されるような選手なんていませんから」との反応を見せたが、その一方で試合後には、相手指揮官ドメニコ・テデスコ監督は「伊藤を全く捕らえることができなかった」と認め、さらに「見事だったよ。特に1vs1の場面ではね」とコメント。

またクリスチャン・ティッツ監督も、「達哉は素晴らしいクオリティをもった選手だ。まさに1vs1の選手という感じだね。高いテンポをもって、ファーストタッチで相手選手を抜き去ってしまうんだ」との見方を示した。

なおビルト紙によれば、ユースチームから指導するティッツ監督から、伊藤は「ドリブルの後のパスの精度は上げていかないといけませんが、1vs1での強さはロッベンやリベリと同じと言ってもらいました」とのこと。

そしてその成長はブンデス初アシストをマークしたプレーのみならず、この日は出場時間という面でも数字として現れており、60分前後で交代していたものとは異なってはじめてブンデス1部フル出場。

その理由について、ティッツ監督は「前半のうちに張り切りすぎて消耗してしまっていたんだ。しかし彼の中で自信が増してきている。時には包み込んであげることも重要だということさ」と語っている。