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 私は昨年6月23日に「日本の株式市場にテスラ・モーターズのような企業が登場しない理由」という記事を、同欄に投稿した。ベンチャー企業ながら電気自動車で最先端を走る同社が、赤字にもかかわらず時価総額でGM・フォードを上回ったのが投稿の契機だった。

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 そんなテスラのイーロン・マスクCEOが4月1日、ツイッターに「テスラが経営破綻した」と投稿。「エープリルフール」の冗談だったが、テスラの2日の株価は下落した。周知の通りテスラは3月29日に主力のセダン「モデルS」を、12万3000台リコールすると発表した。また翌30日には、西部カリフォルニア州の高速道路で走行中のテスラ車が中央分離帯に衝突し死亡事故を起こした。事故時には自動運転に準じる運転支援システム(オートパイロット)を使用していたことも明らかにした。

 1日のマスクCEOの心境がいかばかりのものだったかは、容易に想像がつく。だが不祥事が相次いでいたことは事実。日本の経営者だったらどんな態度を執っただろうか。最近しばしばTV等で目にする、社長以下の役員・担当者が勢揃いで起立し「申し訳ありませんでした」と頭を一斉に深々と下げたに違いない。しかしマスクCEOは違った。まさに直後の4月1日に、前記のエープリルフール発言に及んだ。誉めようというわけではない。言葉を選ばずに言えば日本の経営者との「格の違い」を感じた。

 それにはそれなりの理由もある。テスラはいま最もレベルの高い顧客需要に対応する「モデル3」の生産に取り組んでいる。投じた何十億ドルもの資金を売上で相殺するため、モスラCEOはここ1年近く「工場に寝泊まり」していた。結果、ブルームバーグが開発した「実験的追跡モデル」の推定によればテスラは1-3月期に9285台を生産することができるようになった。また週間の生産台数も2200台を達成したと見込まれている。

 工場に寝泊まりまでして「EV生産のトップランナー」をひた走ろうとするマスクCEOの「エープリルフール」発言を、株式市場も「冗談がきついよ」と受け流してやってもよかったのではないだろうか。