仏政府、日産を配下にフランスで生産増加を狙う ゴーン会長の微妙な立場

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 ルノーの株式15%を保有するフランス政府は、ルノーと日産の経営統合を含めて配下に収める意向のようだ。生産台数ではルノーが300万台余り、ニッサンが500万台余りで合計約850万台となっており、ルノーの日産買収が「小が大を飲み込む」ことであったので、フランスとしては日産車の生産をフランスで行いたい意向が強いようだ。

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 一方で、日産は独自色を残したいのは言うまでもない。フランス政府主導となれば、役員も日本人が淘汰されていくものと思われ、日産の技術もフランスに流れていくことになる。

 フランス政府としては、2014年制定のフロランジュ法をもとに、影響力を行使したい意向のようだ。フロランジュ法は2年以上株式を保有していると議決権は2倍になるというもので、村上ファンドなどの極端に短期の株主が、身勝手な権利行使を予防する目的で制定されたものだ。一方、日本の会社法では日産がルノー株を25%まで買い増せば、ルノーの議決権がなくなるという規定があるので、日産が買い増すという情報もある。

 またまたよくある株争奪戦になろうとしているのかもしれないが、日産の「新車検査不正」により「品質保証体制」が崩れている現在、この株争奪、経営権争奪の争いがどのような影響を持つのか、よく検証しておく必要があろう。

 品質保証は、社員の心の問題も大きく左右し、経営陣の動揺がそのまま表れるのが通常のことだ。企業経営が株主の意向で決まることは明白なことだが、自社のビジネスモデルをよく理解しない株主によって、左右されてしまうことも確かなことだ。株式・金融関係だけを取締役が担い、ビジネスモデルに直接関することを執行役員に行わせるビジネススタイルが定着して、取締役が会社の仕事を理解していないことが起きてきている。その表れが「品質保証」の瓦解だ。

 取締役が自社のビジネスモデルを無視して、株主配当や自社株買いなどで人事権を持つ株主に「ゴマをする」ことが日常的に行われるようになった。「物言う株主」の存在だが、その多くは短期的投資利益を求めているため、中・長期の事業計画がひずんでしまう。ゴルフ場経営のアコーディア・ゴルフなどでは、ゴルフ人口の激減対策を中期事業計画に盛り込むことなく、「短期的買収計画のみ」であったり、配当や自社株買いなどでビジネスモデルを無視した経営をしていた。

 日産は、TCS(トータルカスタマーサティスファクション)と言われる「顧客目線」で改善を進め、「顧客満足度」を上げて売り上げを伸ばす運動もしている。しかし、それはごく一部に過ぎず、全体としては「株主目線」となってきてしまった。そのため品質保証が後退してしまうことに注意すべきであろう。それには株主であるフランス政府の責任が大きい。カルロス・ゴーン会長の立場は株主によって決まるので、これまで防波堤の役割を担ってきたゴーン会長の動向が気になるところだ。

 グローバル企業となった日産・ホンダに特に要望したいのは、起業し育った「日本社会で果たす役割を忘れないでほしい」と言うことだ。