「子どもがYouTubeを利用するデータ」をYouTubeが法律に反して収拾しているとして、20を超える消費者擁護団体によるグループが共同でGoogleを相手に訴えを起こす方針であることが明らかにされました。

YouTube illegally collects data on children, say child protection groups | Technology | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2018/apr/09/youtube-illegally-collects-data-on-children-say-child-protection-groups

グループは(PDF)訴えの中で、YouTubeはサービスを利用する子どもに関する個人情報を集めて利益を生み出していること、そして「13歳未満の子どもによる利用を意図していない」という利用規約があるにもかかわらず、子どもをターゲットにしたデータ分析と活用を行っていると指摘しています。

また訴えでは、YouTubeの行為は子どものオンライン上におけるプライバシーを守ることを目的とした児童オンラインプライバシー保護法(Children's Online Privacy Protection Act:COPPA)に違反していると指摘。この法律では、子どものプライバシーを守るために「サイト運営者は児童のプライバシー収集方針を親に掲示して、個人情報を収集する前に親の同意を得なければならない」「第三者への開示が可能かどうかという選択肢を付けなければならない」などといった条項が記されており、グループはYouTubeがこの条項に準拠していないとしています。

COPPA(Children's Online Privacy Protection Act) | セコムトラストシステムズのBCP(事業継続計画)用語辞典

https://www.secomtrust.net/secword/coppa.html

COPPAは、法律文では、COPPR (Children's Online Privacy Protection Rules) と表記されています。日本では、「児童オンラインプライバシー保護法」と訳されています。

COPPAでは、商用サイトが、12歳以下の子供の個人情報を収集する場合に、次のようなことを義務づけています。

・サイト運営者は児童のプライバシー収集方針を親に掲示して、個人情報を収集する前に親の同意を得なければならない

・第三者への開示が可能かどうかという選択肢を付けなければならない

また、親が子供の個人情報にアクセスして、閲覧や削除ができるようにするという内容も加わっています。

COPPAができた背景には、未成年者から個人情報を集めていた商用目的のサイトや、子供を巻き込んだインターネット関連の事件や事故の増加があります。


YouTubeの利用規約には、「いずれの場合も、本サービスは13歳未満の子供による利用を意図していません。あなたが13歳未満の場合、YouTubeウェブサイトを利用しないで下さい。あなたに、より適しているサイトが他にも沢山あります。あなたにそのサイトが適しているか、ご両親に相談してください。」と書かれています。しかしYouTubeは実際には13歳未満の子どももサービスを利用していることを知りながら、子どもたちの位置情報や端末識別記号、電話番号などを親の同意なく収集していたとして、今回の訴えが起こされることとなっています。



今回の訴えを進めている団体の一つで、子どもを営利主義から保護するための活動を行っている消費者団体「Campaign for a Commercial-Free Childhood(CCFC)」のトップであるジョシュ・ゴリン氏は「何年もの間、Googleは人気のある漫画や童謡、おもちゃの広告などがあふれたサイトが13歳未満の子どものためのものではないと主張して、子どもや家族に対する責任を放棄してきました」「Googleは子どもたちに広告を配信することで莫大な利益を得ており、COPPA準拠しなければなりません。FTCは、違法なデータ収集や広告行為に対して、Googleに責任を負わせるべきです」と述べています。



By davitydave

グループは、YouTubeは子どもの間で最も人気が高いプラットフォームであり、6歳から12歳の子どもの80%がサービスを利用していると指摘。Googleでは2015年に子ども向けに特化したアプリ「YouTube Kids」をリリースして子ども向けに適したコンテンツの提供を行うなどの取り組みを行っていますが、グループはこれが不十分であるとしています。デジタルメディアの民主主義を確保し、保護と拡張のために活動をしている団体「Center for Digital Democracy」のジェフ・チェスター氏は、「Googleは、YouTubeが13歳以上の人のみを対象としているという虚偽の主張によって人々をだまし、若者を故意に広告で満たされたデジタル上の遊び場に誘導しました。Facebookのように、Googleはプライバシーを保護するのではなく、利益を生むために膨大なリソースを集中してきました」と厳しく批判しています。

この動きに対してYouTubeの広報担当者は「まだ訴状を受け取っていませんが、子どもやその家族を保護することは常に最優先事項でした。私たちは訴状に詳細に目を通し、改善のためにできることがあるかどうかを評価します。YouTubeは子どもを対象にしたものではないため、私たちはYouTube Kidsアプリの開発に大きく投資し、子ども向けに特別に設計された代替手段を提供しています」とコメントしています。

YouTube Kids

https://kids.youtube.com/