酒類メーカーのディアジオ(Diageo)のマーケターたちはマーテックスタートアップと一緒に仕事をすればするほど、クリエイティブがほとんど進化していないのに、メディアターゲティングが改善していることを一層実感している。

ディアジオのバナーをグラスに入ったベイリーズからパイントグラスのギネスに変えることは効果的であり、テキスト、音声、画像、ストーリーテリングといった企業クリエイティブをパーソナライズする最初の一歩だと、ディアジオの技術イノベーション責任者、ベニ・リックフェット氏は述べた。さらに多くのディアジオの広告が動的に作成されるようになることで、単なるグラフィック要素を超え、広告コピー、グラフィック要素、そして場所や時間や天気が引き金となるクリックスルーアクションといった何千ものさまざまな要素が反復されることに期待を寄せている。

それをプログラマティッククリエイティブの台頭と単純に呼んではならない。パーソナライズされたプログラマティック広告がこれまで以上に身近になっているように見えるが、リックフェット氏はまだ初期段階であると考えている。ディアジオはコンテクスチュアル動画キャンペーンを手掛ける企業、スパイラブル(Spirable)が独自に所有する、地理、性別、天気、ディアジオの顧客データに基づいて変更可能な個々のフレームに動画を分割する技術を利用して、スパイラブルと合同でひそかにテストを行っている。

テストでわかってきたこと



テストは英国などいくつかのマーケットで実行されており、ディアジオがうまくパーソナライズできる変数の数を見極めるためにベイリーズブランドのパーソナライズされた電子メールキャンペーンがそこには含まれている。しかし、いまのところ、組織上の限界や動的クリエイティブは単なる戦術的な策略に過ぎないという見方により、前進が阻まれている。広告主たちはダイレクトレスポンスのためにプログラマティックを使用することを好むが、リックフェット氏は動的クリエイティブを大きく宣伝することにはいまだに慎重で、ファネル上流で使用されることを望んでいる。

「送り出される個々の動画を2万本作り出す規模まで、このクリエイティブで我々は貢献できる。これに技術的な阻害要因はない。ユーザーによる採用例がある。我々のエージェンシーパートナー、カラ(Carat)、BBDOと私のチームがテストをし、学び、動的クリエイティブのビジネスケースを一緒に構築できるやり方で協業していく必要がある」と、リックフェット氏は述べている。

その広告は、いまのところプログラマティックで配信されていない。リックフェット氏は、ディアジオが同じ広告で何万バージョンも作成するプロセスが自動化できる方法を理解することに興味をそそられている。スパイラブルと一緒に、彼と彼のチームは、画像の特定の部分にコード付与されるクリエイティブフレームワークや視聴者に一番訴えかける広告の挿入方法を考え出そうとしている。

「いくつかのキャンペーンの一環としてA/Bストレステストを実施しており、天気連動型変化機能は本当に良く機能していることを我々は確認している。適切なプランニングを行えば、これは機敏に機能するプロセスになるだろう。さまざまな変数で大きなデシジョンツリーを構築するだけで、実際に管理が可能だ」と、リックフェット氏は語った。

スタートアップとの協業方法



動的クリエイティブに将来性が見えてきたころ、ときをほぼ同じくして(インタラクティブ広告協議会[the Interactive Advertising Bureau:IAB]は8年前から採用の奨励に努めている)、勢力の盛り上がりにより、さらに多くの広告主がこれを採用するだろうと考えられている。昨年10月に、Facebookはブランドがクリエイティブプロセスを自動化できるツールを使って、動的クリエイティブの予算を獲得しようと試みた。ユニリーバ(Unilever)といったブランドは、クリエイティブエージェンシーたちがより深くプログラマティックトレーディングに踏み込んでいくなか、彼らとの付き合いを縮小しているが、元ダブルクリック(DoubleClick)のエグゼクティブによって設立されたAdLib(アドリブ)といったスタートアップは、機能しないフルサービスエージェンシーモデルと彼らが考えているものを修復することで頭角を現している。

動的クリエイティブは、リックフェット氏と彼のチームがスタートアップと一緒に調査をしている数多くあるイノベーションのひとつだ。Amazon、特に急成長しているその音声エコシステムは、会話型コマース、コンテンツターゲティング、ソーシャルリスニングという点で、彼らにとって最優先事項となっている。こうしたイノベーションを調査するための社内リソースを持つことは、事業において、一部の広告主がしているようなイノベーションの取り組みの大部分をエージェンシーに委託する必要がないということを意味していると、リックフェット氏は述べた。

「スタートアップをエージェンシーのように扱うことはできない。彼らは特定の専門知識を持っており、マーケターとして我々は、彼らのあいだで点と点を線で結んで使用事例を作る必要がある。しかし、誰もがそう思っているわけではなく、正しいスキルセットを持っているわけでもない」。

Seb Joseph(原文 / 訳:Conyac)