デマンドサイドプラットフォーム(以下、DSP)のメディアマス(Mediamath)は1月8日、7000を超える広告主と500を超えるパブリッシャーがハイエンドインベントリー(在庫)売買を自動化する、2017年開設のプログラマティックマーケットプレイス「キュレーテッドマーケット(Curated Market)」から、一部のパブリッシャーを除外した。プログラマティックによるインベントリーの販売や再販売を許可された企業を列挙したads.txtファイルをサイトにアップロードしていないというのが理由だ。

「あいにく、一部の大切なパブリッシャーにも、キュレーション市場から退出してもらわなければならなかった」と、メディアマスでメディアと成長チャネルのGMを務めるルイス・ロスコフ氏は語った。

2017年5月、インタラクティブ広告協議会(IAB)のテックラボ(Tech Lab)が、ドメインのスプーフィング(なりすまし)やアドテクのアービトラージの根絶策としてads.txtを発表した。サイト広告のプログラマティックによる販売をパブリッシャーが許可した会社を網羅するリストを作るのはまさに大仕事で(GoogleやAmazonがパブリッシャーに協力した)、当初、躊躇するパブリッシャーが多かった。そのため、まずはアドバイヤーやDSP側がそれに対応したが、強制しすぎると提供されるインベントリーが少なくなりすぎるとの懸念もあった。この懸念はだいぶ小さくなった。

「いまや規模が整った」



「現時点で、かなりの採用率になっている」と、エージェンシーRPAのVPでデジタルメディアのディレクターを務めるニコラ・ペリゴ氏は話す。

オープンX(OpenX)によると、インターネット調査企業コムスコア(comScore)のトップパブリッシャーリストによる米国のパブリッシャーのトップ1000のうち、およそ60%がads.txtファイルをサイトにアップロードしていた。

インデックス・エクスチェンジ(Index Exchange)がアドバイヤーに説明している採用率はもっと高い。メディアハブ(Mediahub)のSVPでメディアサイエンスのディレクターを務めるダン・デービス氏によると、「クロールしているトップ1万ドメインのうち82%にads.txtファイルがあるとしている」という。

ads.txtの採用がトップパブリッシャーで多数派になったことで「いまや我々の主要DSPは大半が、ads.txtのあるパブリッシャーのみからの購入ができる。規模が整ったということだ」とペリゴ氏は語った。

実施を間近に控えて



そうなると、近く実施も広がっていく。

2018年にキュレーション市場でads.txtの実施をはじめたメディアマスは、ロスコフ氏によると、「今後数日あるいは数週間のうちに」、オープンエクスチェンジを通した広告購入でads.txtの実施を開始する。ただ、この次なる実施にはひと工夫があり、オープンエクスチェンジでの入札をads.txtファイルのあるパブリッシャーに制限するわけではない。オープンエクスチェンジでは、ads.txtファイルがないパブリッシャーからのインベントリーにも依然として入札し、ads.txtファイルがあるパブリッシャーについては、ads.txtファイルにあるセラーやリセラーからのみ広告を購入するのだと、ロスコフ氏は説明した。

この「保険」からもわかるように、まだ参加を拒んでいるパブリッシャーたちの存在が、ads.txt準拠のインベントリーのみの購入にアドバイヤーが移行するのを難しくしている。

「ファイルを生成しない良質なパブリッシャーがまだいるため、割り切ってads.txt証明(のインベントリー)だけでやっていくのは、まだ少し躊躇がある。準拠していない素晴らしいパブリッシャーを断念することになってしまうからだ」と、デービス氏はいう。

埋める必要がある穴



ピュブリシス・メディア・プレシジョン(Publicis Media Precision)でメディア技術規格のディレクターを務めるジェシカ・カーウィン氏は、ads.txtの採用は「はいはい、二足歩行、そして走り出す、というシナリオ」で進むと語る。ピュブリシスグループのプログラマティックハブであるメディア・プレシジョンはすでに、プログラマティックのプライベートマーケットプレイスでパブリッシャーにads.txtファイルを要求している。しかし、プログラマティックによる購入をads.txtに準拠した経路に限定するには、埋めなければならない穴がある。

「投稿されるファイルの間違い、クローラーの課題、モバイル対応を巡る制限、コンテンツシンジケーションなど、全面的展開の前に解決する必要がある問題が残されている」と、カーウィン氏は語った。

Tim Peterson (原文 / 訳:ガリレオ)