韓国で進む自然災害のAI予測、政府も開発に6億円投じる

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暖かく湿った空気が冷たい海面に冷やされることで、海上から津波と見間違うような大規模な濃霧が発生することがある。その現象は「海霧」、もしくは「移流霧」(ここでは海霧で統一)と呼ばれている。

海霧が発生すると、船舶の乗組員たちは視界を確保できずとても危険な状況にさらされる。また、港湾や周辺の交通網にも悪影響がもたらされ、近隣農家に冷害がもたらされるケースもあるとされている。

今回、そんな海霧の被害に悩まされている韓国で、人工知能を使った「海霧予測システム」が開発された。開発を牽引したのは、海洋水産部・国立海洋調査院だ。

海洋調査院は、2016年から釜山港、蔚山港など全国主要11港に海霧の観測所を設置し、関連機関とともに海霧予測システムの開発を進めてきた。その後2年間の研究を経て、気温・水温・風向・風速など気象観測資料と、視程距離の相関関係を分析し、海霧が発生する可能性を予測する技術を開発した。

今後「海霧予測サービス」は、通航する船舶が多い仁川港と海雲台沖海域で試験的に提供されることになった。海洋調査院のホームページでは、同区域の現時点から3時間後、6時間後、12時間後の海霧発生確率がそれぞれ確認できようになっている。テスト事業終了後、今年末までに木浦港、麗水・光陽港、群山港など、計6港の近隣海域の海霧発生予測も確認できるようになる見通しだ。

韓国ではまた、地震の二次被害を食い止めるAIプラットフォームの開発に、政府予算が投じられることが決まった。

韓国では、2017年に浦項で大規模な地震が起き、余震被害や今後の対策に懸念が生じている。そこで、慶尚北道が政府支援を受ける形で、AIプラットフォームの開発に乗り出すことになった。

今後、慶尚北道は建物に備え付けられたセンサから、「傾きの変化」などのデータを収集・モニタリングし、地震による建物倒壊など危険な状況を事前に察知するシステムを開発する。目標は、地震や余震などによる二次被害の拡大を防ぐというものだ。韓国政府は、地域課題を解決するテクノロジーR&D予算として、日本円換算で約13億円を計上しているが、そのうちの6億円が慶尚北道の同AIプラットフォームの開発に投じられる。

人工知能が持つ強みのひとつに、膨大なデータから「未来を予測する」というものがある。例えば、工場で稼働する設備の稼働データを分析し、いつメンテナンスが必要かなどを事前に調べるというような使われ方が始まっている。とはいえ、自然災害やその二次被害に関するデータの規則性はより複雑でもある。人工知能による予測が、自然相手にどこまで正確性を持ちうるか。その精度向上に期待したい。