Amazonがソーシャルメディアプラットフォーム「Amazon Spark」をリリースしてから9カ月近く経った。だが、エージェンシーやインフルエンサー、ブランド、いずれの立場においてもまだ、人気は得られていないようだ。

この記事のためにエージェンシーのバイヤー8人にインタビューしたところ、全員が、Amazonは宣伝でSparkにほとんど言及していないと回答している。また、2人のインフルエンサーは、ほかのプラットフォームで提携しているブランドは、彼らに資金を提供してSparkに投稿させることに興味を示していないと述べた。

昨年7月にリリースされたSparkは、写真のソーシャルフィードで、インスタグラムに似ているが、プライム会員しか利用できない。非会員は、フィードを閲覧できるが投稿はできない。ユーザーは写真を投稿したり、特定の商品がほかの商品より優れているかどうかを問う「アンケート調査」を行ったりできるなど、Amazonが販売する商品に焦点を当てるという発想だ。Amazonはリリース時に、関心があるテーマや、「エンスージアスト(Enthusiast)」と呼ばれるインフルエンサーをフォローできると宣伝していた。Amazonと結びついているので、当然ながら、ほかのソーシャルネットワークよりもはるかに買い物がしやすい。Amazonは、Sparkの成長に関する具体的なデータの提供を拒んだ。

プロモーション不足



Amazonは最近、Sparkに「コントリビューターリワード(contributor rewards)」も導入した。これは、Amazonチームの決定に従って、役立つコンテンツや興味深いコンテンツを投稿する人々に現金を提供するというものだ。Sparkにはいまのところ、広告の機会がない。だが、米DIGIDAYが精査したデッキ(媒体資料)によると、ブランドプロフィール機能が近々追加され、「ブランド登録」に登録されたブランドは、認証済みを示すチェックマークが描かれたバッジを手に入れ、Sparkに参加できるようになる。

ブランドがSparkに関われる方法はいくつかある。もっとも明白なのは、インフルエンサーに金を払う方法だ。幹部によると、「オンサイト・アソシエイト(on-site associates)」プログラムを利用する方法もあるという。このプログラムは、招待された場合だけ利用でき、Amazonの有料会員が、Sparkを含め、Amazonでいわゆる「質の高いコンテンツ」を投稿する必要がある。Amazonは現時点で、ブランドに属するプライム会員なら、独自のAmazonプロフィールを利用して、ブランドを代表できると示唆している。

「AmazonがSparkを勧めてきたことはない。たとえば検索を通じて機会はたくさんあるが、Sparkは取り上げられていない」と、クリエイティブエージェンシーのメディアキッチン(The Media Kitchen)のグループディレクター、アンドリュー・サンドバル氏は語る。

「Sparkについて尋ねてきた提携ブランドはない」と独立系エージェンシー、スウェルシャーク(Swellshark)の戦略担当責任者であるデビッド・タッカー氏はいう。

サンドバル氏によると、ライフスタイル重視の顧客はもっぱら、「商品とともに生活している人々を紹介」できるインスタグラムに集中しているという。「Sparkはおおむね、商品について語るだけであり、強引な売り込みだ。結局のところ、eコマースのソーシャル体験は、従来のソーシャル体験とは少し異なる」と、サンドバル氏は語る。

インスタでこと足りる?



Amazonを重視する大手エージェンシーの別のバイヤーは、自身の体験では、インフルエンサーマーケティングとeコマースが、自分(および、おそらくはAmazon)が期待していた形で軌道に乗っていないと述べている。

エージェンシーの報告によると、Amazonは、たとえば、「Amazon マーケティングサービス」(AMS)や「Amazon Advertising Platform」(AAP)のほか、生鮮食品宅配サービス「Amazon Fresh」など、ほかのプラットフォームを大いに推しているらしい。Amazonは最近、エージェンシー開発チームを世界的に拡大する動きを取っている。

別のメディアバイヤーは、インフルエンサー自身がSparkにあまり馴染みがないという問題に直面していると語る。Amazonは、ブランドの興味を引く系列サイトのような、ほかのインフルエンサープログラムでもっと成功してきた。「Sparkのメリットを示す確かなデータがない」とこのバイヤーは語る。

別のバイヤーによると、当初は、ブランドが直接投稿できないので、Sparkのほうがもっと信頼感があるというのが、Amazonの宣伝文句だったという。だが、「インスタグラムに広告が多すぎる件について、誰も不満を述べていないので、そうした宣伝文句が顧客の共感を呼んでいるとは思わない」と、この人物は指摘する。

Amazon社内の問題も



社内のコミュニケーションの問題もある。エージェンシーは長年、Amazonでは、社内のグループ同士の対話があまりないと報告してきた。AMG(Amazon Media Group)とAMSがその一例だ。Sparkとの関係もある程度そうで、Sparkの宣伝をすべき広告チームが、宣伝をしていない。

こうしたコミュニケーション不足が、製品全体にも見られる。「Amazonはいまのところ、そうした総体的な感じがせず、我々エージェンシーにはわかりにくい。なぜさまざまなプラットフォームが提供されるのか?」と、サンドバル氏はいう。

インフルエンサーの報告によると、Sparkを発表する最初のメールが(インフルエンサーだけでなく)全員に送られたあと、Amazonの誰からも連絡はないという。あるインフルエンサーは、Sparkでは誰でも認証を得られるのに、認証プロセスで弾かれたとこぼした。米DIGIDAYが以前にインタビューしたインフルエンサーと同様に、潜在的なオーディエンスはかなり限られていると感じているという。

「知り合いの誰ひとりとして利用していない。なぜ私が利用すべきなのか?」と、このインフルエンサーは語った。

Shareen Pathak(原文 /訳:ガリレオ)