写真:労働新聞(電子版)より

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 北朝鮮情勢が、平昌冬季五輪を機に急展開している。南北の緊張緩和、融和ムードが醸成される中、韓国特使団が平壌を訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長と会談した。その後、韓国から金委員長のメッセージを聞いたドナルド・トランプ大統領が、米朝首脳会談を5月までに開催する意向を突如表明した。

 一方、金委員長は習近平国家主席と初の中朝首脳会談を行った。両首脳は「朝鮮半島の非核化の実現」で一致した。金委員長は「南朝鮮(韓国)と米国が善意をもって応じ、平和実現のために段階的、共同歩調の措置を取るならば、非核化の問題は解決できる」とし、中国側が要求した「6ヵ国協議」への復帰も表明した。さらに、北朝鮮は韓国と閣僚級会談を開き、金委員長と文在寅大統領の南北首脳会談を4月27日に板門店で開催することで合意した。

日本だけが蚊帳の外を
「4D地政学」で考える

 このように、中朝首脳会談が実現し、南北首脳会談が決まり、米朝会談も開催に向けて動き出した。金委員長が、ロシアを訪問する可能性も浮上している。これらの動きを、日本は事前に何も知らされておらず、報道で知って右往左往したという。いつの間にか、日本だけが「蚊帳の外」に置かれかねない状況となった。安倍晋三首相は慌てて日朝首脳会談を北朝鮮に打診したが、相手にされていないという話もある。

 ただ、日本が「蚊帳の外」に置かれても、驚くことはない。想定の範囲内だ。この連載は、メディアがひたすら「シンゾー・ドナルド関係」を持ち上げて、「過去にない緊密な日米関係」を強調していた頃から、北朝鮮問題で日本だけが「不利な立場」「損な役割」を押し付けられる懸念を指摘してきた(本連載第166回)。

 日本が外交戦で「敗者」とならないために、安倍政権にはしたたかな行動が求められたはずだ。しかし、安倍政権は「圧力一本やりを周辺諸国に呼びかける」という、愚直な外交に終始している。今後、「安倍外交」は、厳しい批判に晒されるかもしれない。

 だが、筆者は安倍政権に同情するところもある。「愚直」であること以外に、やりようがなかったと思うからだ。本稿は、この連載が提唱してきた「4D地政学」(第155回)という新しい概念を用いて、北朝鮮を巡る日本外交の「限界」を考えてみたい。

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