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●世界で最も売れるスバル車に加わったものとは

SUBARU(スバル)がSUV「フォレスター」の新型(米国仕様)を日本で初公開した。世界で最も売れるスバル車でもあるフォレスターだけに、フルモデルチェンジで何が変わったのかは気になるところ。開発責任者の話と共に新モデルの特徴を見ていきたい。

○スバル販売台数の3分の1は「フォレスター」

スバルは年間約100万台のクルマを販売しているが、フォレスターはその約3分の1を占める同社の基幹車種だ。得意とする米国市場では、「アウトバック」と「フォレスター」が約18万台ずつの販売台数でスバル車の双璧をなす。日本ではモデル末期となった2017年(暦年)こそ1万9,000台弱という販売台数だったが、現行モデルが登場した後の2013年は約3万5,000台が売れて、その後の3年間も平均すると年間2万5,000台前後の売れ行きを示していた。

スバルは先頃、ニューヨークモーターショーで新型「フォレスター」を世界初公開(2018年3月28日、現地時間)し、このほど日本でメディア向けのお披露目会を開催した。1997年に登場したフォレスターは約5年ごとにフルモデルチェンジを繰り返し、今回の新型で5代目となる。

新型フォレスターの世界初公開からスバルには、顧客の声として、現行モデルからの変更点が見えにくいとの意見も届いているという。確かにガラリと姿を変えてはいないフォレスターだが、現行モデルのビッグマイナーチェンジからフォレスターの開発責任者を務めているスバル商品企画本部の布目智之プロジェクトゼネラルマネージャーによれば、新型モデルは「確実な進歩」を実現すべく開発を進めたという。

●顧客がSUVに求める「情緒的な価値」を探求

○基本的な価値は「踏襲」

スバルがフォレスターで提供する価値の基本は「どこにでも行ける、どんな場所でも使える」というもの。布目氏は基本的な価値を踏襲しつつ、そこに何を加えられるかを考えて新型モデルを開発したという。

開発にあたってスバルが調べたのは、顧客がSUVにどのような情緒的な価値を求めているかということ。それは「心の中の冒険心を後押ししてくれる走行性能・デザイン」であり、「同乗者まで楽しめる快適な室内空間」であったと布目氏は語る。

○SUV“らしさ”を前面に打ち出す「フォレスター」

その観点で新型フォレスターを見ていくと、まずデザインはスクエアながらフェンダーが張り出しており、SUVらしい力強さが感じられる。サイドからピラー(ウィンドウを縦に区切る柱のような部分)につながる削ぎ落としたような硬質な面では、SUVの躍動感も表現しているという。SUVが世界的に流行しているだけに、最近は輸入車勢を含め新型モデルを目にする機会が多いが、どちらかというと「都会的」な印象のクロスオーバーSUVが市場に増える中、スバルの「フォレスター」はいかにもSUVらしい形をしているといった感じだ。

寸法を見ると、ホイールベース(前輪と後輪の中心を結んだ長さ)は現行モデルに比べ30ミリ長くなっているが、その延長分は前席と後席の距離を広げるのに使った。これで後席足元の快適性が向上するという。幅も20ミリ広くなっているが、これも助手席と運転席の間を広げるのに使い、室内の「広さ感」を引き上げたそうだ。こういった設計を布目氏は「ヒト中心の寸法設定」と表現する。

「冒険心」とは出掛けたくなる気持ちのことだと考えられるが、その部分で注目したいのは荷室の使い勝手だ。荷物を積んでキャンプやゴルフに出掛けるという用途がフォレスターにはありそうだが、新型のリヤゲートは開口最大幅が現行モデルに比べ134ミリも広い1,300ミリとなっている。これでゴルフバックは真横にして積み下ろしができるそうだ。新型モデルではリヤゲートを電動で開閉する機能を刷新し、よりスムーズな(素早い)挙動を実現。ルーフレールには荷物をくくりつけるひもを通す穴(タイダウンホール)を設けている。

●定番商品に手を加える苦労は?

○フルモデルチェンジは「あまり悩まず」

誕生から20年超の歴史を持つフォレスターだけに、ある程度は市場からの評価も確立しているはず。それをフルモデルチェンジする場合は、大きく変えるにしろ小さく変えるにしろ誰かの不満を買うことになりそうなので、開発責任者の苦労は多そうだ。そのあたりについて聞くと布目氏からは、「もともと技術畑なので、あまり悩んでいない」との意外な答えが返ってきた。

「お客様が評価してくれているポイントや、普段使っていて不便を感じないように改良できる部分などを、どこまで積み上げられるかだと思う。現時点で、これ以上はできないというところまで積み上げれば、それが商品の評価につながる」。技術開発が進んでいるので当然だが、スバルでは毎年、クルマに対して盛り込める要素が増えていく。それを最大限、新しいフォレスターに詰め込んだというのが布目氏の言葉の意味だろう。

○進歩の一端が垣間見える顔認証システム

その進歩を物語るポイントとして布目氏は、新型フォレスターに搭載した「ドライバーモニタリングシステム」という機能を引き合いに出した。これは車内を見守るカメラとそれに関連するシステムのことで、例えばドライバーが脇見や居眠りをした場合、カメラがそれを捉え、早めに警報を出して注意を促す。

こういったシステムは他のメーカーのクルマにも搭載されているが、スバルでは同システムに顔認識技術を盛り込んだ。これによりシステムは最大5人の顔を覚えて、誰が運転席に座るかにより、シートポジションやディスプレイで表示する情報、エアコン設定、ドアミラーの傾きなどを調整する。つまり、ドライバーが各自の好みに合わせて新型フォレスターをパーソナライズできるのだ。「クルマとヒトの間のインターフェースは、もっと親密であってもいい。クルマが自分を認識してくれることが大事なのではと考えたので、若いエンジニアと一緒になって作ってみた」。そう布目氏は話す。

新型フォレスターを買うのは父親だとしても、その子供が時々、このクルマを借りて乗るケースは大いにありそうだ。そんな時でも、クルマが自分を覚えていてくれるというのが、この機能の特徴だ。顔認証機能のついたスマートフォンや、別々のプレイヤーが各自のアカウントでサインインして遊ぶゲーム機などに慣れている世代であれば、この機能を面白がるかもしれない。

こんな機能も追加となった新型フォレスターだが、日本仕様の発表・発売は2018年の初夏になるそうだ。