日銀の黒田総裁=2018年1月

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 安倍内閣は9日夕、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁を再任した。

 任期は2023年4月までの5年間。黒田氏は、「アベノミクス」を掲げる安倍内閣の下で13年3月に就任。同4月に大規模な金融緩和「異次元緩和」を始めた。5年を超えて総裁を務めるのは、山際正道氏(1956〜1964年)以来約60年ぶり。黒田氏を補佐する副総裁には先月、若田部昌澄(まさずみ)・早稲田大教授と雨宮正佳(まさよし)・日銀理事が就いた。「黒田日銀」の新体制が発足し、新たな5年間が始まる。

 黒田氏の最初の任期では異次元緩和による円安、株高で企業業績は回復し、雇用も改善した。しかし政策目標の「物価上昇率2%」の達成時期は6度も先送りし、超低金利で金融機関の経営や年金運用が悪化する「副作用」も出ている。

 安倍晋三首相の信任が厚く異例の再任となった黒田氏が、「2%」を達成し緩和を縮小する「出口」に向かえるかが、次の5年の任期の焦点となる。

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 日銀の黒田総裁の会見での主なやり取りは次の通り。

 ――抱負と課題は。

 「賃金・物価は緩やかに上向き、強力な緩和のもと2%の物価目標の道筋を着実に歩んでいる。目標総仕上げへ全力で取り組む」

 ――5年で達成できなかったのは目標か手段が間違っているのではないか。

 「2013年4月の金融緩和以降、経済は大きく改善し、すでに持続的なデフレではなくなった。目標を実現できていない背景にはデフレマインドもある。目標が間違っているわけではない」

 ――78歳になる任期の満了まで務めるのか。

 「5年の任期で再任された。当然のことながら任期いっぱい務めるつもりだ」

 ――19年10月予定の消費税引き上げのリスクはなにか。

 「14年に消費税が5%から8%へ引き上げられた際は予想以上に駆け込み需要とその反動減が大きく、マイナス成長が続いた。19年の消費税率の引き上げ幅は2%で、影響は前回に比べると小さなものになると予想される。十分に注視する」

 ――物価目標2%にこだわらない政権に交代した場合の対応は。

 「2%の物価目標は日銀が政策委員会で決定した。変更する必要はない」

 ――大規模緩和を続けている日銀は、欧米の中央銀行に比べて「出口戦略」が難しいのでは。

 「性急に急激な金融引き締めをやると金融システムに影響が出るかもしれない。市場の状況をみながら経済に悪影響がでないよう慎重に緩やかにやる。欧米と基本的に変わらない」

 ――緩和の長期化で、副作用も大きくなっている。

 「現時点で(金融機関などの)金融仲介機能にマイナスの影響が出ているとは思っていない。リスクには必要に応じて対応する」