選手やチームスタッフと監督との信頼関係のバランスが崩れてしまったと話した田嶋幸三会長(記者撮影)

「マリ戦・ウクライナ戦の後、選手との信頼関係が薄れてしまったこと、今までのことを総合的に勘案しておとといの契約解除という結果になってしまいました」

4月9日夕刻、東京・御茶ノ水の日本サッカー協会(JFA)で開催されたSAMURAI BLUE(日本代表)ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に関する記者会見で日本サッカー協会の田嶋幸三会長はこういって解任の経緯を説明した。


3月15日、ベルギー遠征のメンバーを発表していた西野朗氏(写真:JFA/アフロ)

新監督に就任したのは西野朗(あきら)氏。ハリルジャパン体制では、これまで技術委員長として内部から深くかかわってきた。

田嶋会長はこの63歳の新指揮官を「慎重な人物」と評しており、指導者としてはU-23(23歳以下)の代表監督として1996年のアトランタ五輪で中田英寿や川口能活らを擁するチームを指揮し、ブラジルを破った実績が広く知られる。

ハリル前監督の契約解除に伴い、西野新監督はまずは6月14日に開幕するロシアワールドカップ(W杯)までの約2カ月間の指揮を担うことになる。

解任の引き金となったベルギー遠征

解任となったハリル監督は2015年3月に就任。スペインでの八百長騒動があった前アギーレ監督の後任として約3年指揮を執った。

日本代表を6大会連続6度目のワールドカップに導いたハリル前監督だったが、昨年11月の欧州遠征でも2敗と振るわず、E-1選手権(旧東アジアカップ)では韓国に惨敗し、優勝を逃した。

それに加えて、先月の3月23日と27日に行われたマリ・ウクライナ戦では1分け1敗。このベルギー遠征を「最後の重要な遠征」(田嶋会長)と位置付けていた日本代表にとって、監督解任の決定的な引き金になったという。

田嶋会長は、今回の交代劇を「1%、2%でもW杯で勝つチャンスを追い求めた結果。W杯のひのき舞台で120%の力を発揮できるように準備を進めてきた」と話したが、1時間に及ぶ会見の中で、「緊急事態」という言葉を何度も繰り返した。

「これまで多くの議論を尽くしてきた中で、ハリルジャパンを最後までサポートし続けたのが西野さん。外部の全く関係のない人を指揮させるリスクのほうが高かった」と田嶋会長は西野新監督の就任理由を説明した。

今週木曜日の4月12日、日本サッカー協会は再度会見を開き、新スタッフの編成を発表する。すでにハリル前監督の解任に伴い、2人のコーチと1人のゴールキーパーコーチ、計3名の外国人コーチの契約も解除している。その場で後任の技術委員長も決まる予定だ。今後の代表メンバー発表の予定も新体制の下で発表される。

これまでサッカー日本代表は、ワールドカップ予選の期間中に監督解任は何度かあったが、出場が決まり、本大会2か月前の交代は前代未聞のことだ。

「少しでも勝つ可能性を高めるための決断」

協会の責任について問われた田嶋会長は「責任を恐れて何もしないのではなく、(本大会で)少しでも勝つ可能性を高めるための決断をした。それが責任だと考えております」とかわした。


会見の最後に頭を下げた田嶋会長(記者撮影)

会見の最後に、田嶋会長は「本当に僕はこの危機をいい方向にもっていきたいと思います。オールジャパンで本当に日本がここで団結していくいいチャンスだと考えています。応援よろしくお願いいたします」と呼びかけた。

残り約2か月間のうち、5月30日の国内最終テストマッチであるガーナ戦(日産スタジアム)を経て代表メンバー23人が最終決定される。

初戦のコロンビア戦を迎えるのは6月19日だ。限られた時間の中でどこまでの結果を残すことができるのか。直前の監督解任という「緊急事態」に見舞われた日本代表。今のサムライブルーに残された時間は想像以上に少ない。