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■ドラフト1位が堕ちてしまう理由

一流になるか、二流に終わるかの分岐点は、第1に学び続ける姿勢にあります。学び続けなければ成長はありません。

プロ野球のドラフトで1位指名されて鳴り物入りで入団しても芽が出ない選手はいます。一方、育成枠で入ってレギュラーで活躍しているプレーヤーもいる。ビジネスマンは学び続ける姿勢を持てば一流になれる可能性は十分にあるのです。

学びとともに最近重要になっているのが、その人の存在そのもの、「being」です。以前は人を評価するのにどんな大学を出て、何の資格を持っているかという「having」が重視されていました。それが「performance」になり、いやプロセスを見なくてはダメだと「doing」に移り、いまはbeingの重要性が認識されるようになりました。

■苦笑いを浮かべるのはもってのほか

beingは、この人といると「元気が出る」「癒やされる」「周りが影響を受ける」など人物が絶対的な評価で判断される要素。

この評価は評価項目としては表現できません。でも重要なプロジェクトにはbeingで評価された人が入っているケースが多い。最近は評価項目の中に「人望」を採用している著名メーカーもあるくらいです。

だから最近の若手社員に多い傾向ですが、何を言っても反応が薄く、叱ると黙ってしまう、あるいは言葉ではNOを言わない代わりに苦笑いを浮かべるなどは、もってのほか。それでいくら実務能力があったとしても、人を惹きつける力や周りに与える影響がなければ、いい人材とはいえない時代なのです。

■二流の人は「できません」とできない理由を探す

一流か二流かが露呈してしまうのが、ミスをしたときや不測の事態が発生したときの対応です。誰でもミスを犯したときは「すみません」と謝り、ヘコむでしょう。ただし一流と二流の人ではこの後が違うのです。そこから復帰するために友人と酒を飲んだり遊んだりして気分転換を図ることも必要でしょう。

ただ、二流の人は気持ちを切り替えるだけで終わってしまいます。それでは失敗前の地点に戻っただけなので、同じ過ちを繰り返す可能性があります。さらに「言われたとおりやっただけだ」「部下の能力が低かったのだ」と他責にしてしまう人には部下がついてきませんから、せいぜい課長止まり。

一方、一流の人は「なぜ失敗したのだろうか」と考えます。つまり、自責です。顧客、市場の環境など外部的な要因もあるでしょうが、自分にできたことはなかったかと探し、「ここで判断を誤った」「意思決定が遅かった」といった課題を見つけ出すのです。同時に、「次は絶対に成功してやる」とリベンジ精神を奮い立たせます。すると、そのためにどういう準備をすればいいのかと考えるので成長するのです。「すみません」と言いながら前を向いているのです。

また、一流の人はみな自己効力感が高い。これは自分に対する信頼感です。最後はなんとかうまくいくと思って、「まあ、やってみよう」と1歩を踏み出せる。二流の人が「できません」「無理です」と、できない理由を探すのに一生懸命なのと真逆。自己効力感は、仕事に限らず、小さな成功体験を積み重ねることで誰でも高められます。

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小杉俊哉(こすぎ・としや)
経営コンサルタント
慶應義塾大学大学院理工学研究科特任教授。マサチューセッツ工科大学経営大学院修士課程修了。NEC、マッキンゼー、ユニデン人事総務部長、アップルコンピュータ人事総務本部長を経て独立。著書に『2%のエース思考』など。
 

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(経営コンサルタント 小杉 俊哉 写真=iStock.com)