松坂桃李の圧倒的な色気と演技力にひれ伏す…映画『娼年』は松坂桃李の表情全てに注目してほしい作品です【最新シネマ批評】

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【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、レビューをします。

今回ピックアップするのは、松坂桃李主演映画『娼年』(2018年4月6日公開)です。この作品は、石田衣良の同名原作を映画化したものですが、2016年に本作と同じ三浦大輔演出・松坂桃李主演で舞台化されています。

舞台もセンセーショナルでしたが、映画も相当な衝撃度ですよ。松坂桃李はどこまで進化していくのでしょう! というわけで、まずは物語から。

【物語】

大学生の森中領(松坂桃李)は、何をしても充実感を得られず、バーテンダーのバイトに明け暮れながら空っぽな毎日を過ごしていました。

そのバーで出会ったのが御堂静香(真飛聖)。彼女は領を自宅に招き入れ、男女の関係や恋愛には興味がないという彼に「情熱の試験」を受けさせます。それは若い女性、咲良(冨手麻妙)の相手をするということでした。

咲良のサポートで合格となった領は、静香が経営するコールクラブ「Le Club Passion」で働くことに。そこは女性たちの相手をする秘密のクラブ。

無気力だった彼は、娼夫・リョウとして数々の女性たちと出逢い、ベッドを共にすることで閉じていた心の扉を開いていくのです。

【人気俳優・松坂桃李が自身のすべてを捧げた作品!】

R18指定の映画であり、その内容の衝撃度が語られることが多い作品ですが、見終わって感じるのは、松坂桃李の演技にかける思いを強く感じた作品だということですね。

とにかく松坂桃李さんの表情に注目してほしい。バーテンダーのときは覇気のない表情だったのが、静香にスカウトされてコールクラブの仕事を始めると、ゆっくりと変わっていきます。

最初のうちは女性たちの秘密を知り、とまどいの表情を浮かべますが、キャリアを積んでいくうちにどんどん柔らかくなり、晴れやかな良い表情に変化していくんですよ。

そして、肉体を使った描写はとても激しめ。だけど、リョウの「こんな俺でも彼女たちの役に立っている、彼女たちを幸福できるんだ」という思いと同時に「俺、いま、生きてる」という心の叫びが聞こえてくるようです。

難しい役を堂々と演じきった松坂桃李は、芝居に真摯に向かう素晴らしい役者なのだと改めて思いました。

【三浦大輔監督の妥協のない確かな演出力】

映画『娼年』を三浦大輔監督が撮ると知ったとき、これは絶対に見たいと私は思いました。三浦監督作『愛の渦』は本作に負けない肉体を使った男女の関係を描いており、その描写は徹底していたものの、どこかユーモアがある物語。作品の軸には人間関係が置かれ、男女の出会いと変化が描かれている内容だったのです。

そして今回の『娼年』もセクシーな演出だけではなく、「主人公がどう変化していくか」がしっかりと描かれた作品になっていました。

劇中では、女性の体よりも心を救うことに注力。性を通して心を映し出す試みがなされていたと思います。

リョウの相手となる女性たちは、それぞれ事情を抱えており、リョウの存在で心のバランスを保っているのです。

この映画は、松坂桃李主演作だから女性向きなのではなく、女性たちの内面もしっかり描いているからこそ、女性に見てほしい作品になっていると私は思います。

【「わろてんか」からの映画『娼年』】

それにしても、絶妙のタイミングでの公開。松坂さんが出演されていたNHK連続テレビ小説「わろてんか」が終わったばかりで、松坂桃李ファンはドラマに引き続き、主演映画が見られる喜びがあります。

とはいえ、公開はかなり綿密にタイミングを図ったのではないかと思いますね。R18指定の大人映画で、激しい絡みのシーンもありますから、清らかな朝の連続テレビ小説と並行していたら「あの藤吉はんが!」と大変なことになっていたでしょう。

演じる役の幅の広さ、芝居への真摯な姿勢、チャレンジする勇気。松坂桃李の魅力と進化がしっかりつまった映画『娼年』。できればひとりで見て、その世界にどっぷり入り込むのがいいと思います。

執筆=斎藤 香 (c)Pouch

『娼年』
(2018年4月6日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督・脚本:三浦大輔
出演:松坂桃李、真飛聖、冨手麻妙、猪塚健太、桜井ユキ、小柳友、馬渕英里何、荻野友里、佐々木心音、大谷麻衣、階戸瑠李、西岡徳馬、江波杏子
(c)石田衣良 / 集英社 2017映画「娼年」製作委員会

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