直近のデータ流出事件を受けて、Facebookは規制を受ける必要があるという声が政治家やメディアエグゼクティブのあいだで高まっている。NBCユニバーサル(NBCUniversal)のCEOであるスティーブ・バーク氏もそれに同意するひとりだ。

「Facebookは巨大なビジネスだ。そして巨大なビジネスには世界に対する大きな責任がついてくる。何十年にもわたって、放送とケーブルテレビ業界は規制を受けてきた。タバコの広告を出さない。午後2時にアルコールの広告を出すこともしない。一つひとつのコマーシャルがスタンダードに準拠しているかどうか確認している」と、彼は指摘する。

Facebook問題はより深刻



バーク氏は3月27日に行われたNBCユニバーサルの第4回イノベーションデー(Innovation Day)というイベントでスピーチを行った。このイベントは彼らが抱えるトップ広告クライアント向けの社内カンファレンスとなっている。今年は人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ(Saturday Night Live)」を収録するスタジオ8Hが会場となり、450人のマーケティングやエージェンシーのエグゼクティブが集まった。参加者にはAmazon、起亜自動車といった大手企業、大手広告ホールディング会社が含まれていた。

連日ニュースを騒がせているデータ企業ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)の問題は、Facebookのビジネスモデルと直接結びついている。そのためFacebookが抱えてきたこれまでの問題よりも、一層重大な問題であるとバーク氏は指摘した。Facebookはユーザーのデータを定期的に収集し、バイヤーに売っている。ユーザーたちは必ずしもそれを知らされていない。

「Facebookは深刻な問題を抱えている。最終的には大きなビジネスというのは信頼に基づいているからだ。消費者とのあいだに信頼がないといけないし、投資家とのあいだにも信頼がないといけない」と、バーク氏は語った。

Snapchatに大きな期待



もちろんバーク氏はあらゆるプラットフォームに関して批判的なわけではない。NBCユニバーサルが昨年、上場を受けて5億ドル(約533億円)の投資を行っているスナップ(Snap)社に関しては称賛を与えている。

今年初頭に韓国で行われた冬季オリンピックの期間中、NBCユニバーサルはスナップ社と冬季オリンピックに関する毎日のプログラムを提供する契約を結んだ。また、BuzzFeedによるSnapchat「ディスカバー(Discover)」におけるデイリープログラム、そしてオリンピックの重要な瞬間をSnapchatで生放送するというはじめての試みを行った。バーク氏によるとNBCユニバーサルによる冬季オリンピックのプログラミングは4500万人が視聴したという。そのうち75%は18歳から34歳のあいだとのことだ

オリンピック後もNBCニュース(NBC News)は、Snapchat上で日に2回の番組を行っている。「ステイ・チューンド(Stay Tuned)」は配信ごとに250万人を集め、平均で毎日500万人の視聴者を獲得しているという。またNBCユニバーサルとスナップ社はジョイントベンチャーを運営しており、そこではSnapchatのために脚本から制作されたコンテンツも開発している。これは現在、Snapchat上で存在している脚本なしのプログラムよりも長くなるだろうと米DIGIDAYのレポートで予想されている。

NBCユニバーサルがスナップ社に期待をしている理由はいくつかあるとバーク氏は言う。Snapchatはプロフェッショナルによって制作されたコンテンツの価値を認めており、コンテンツを作るためにはメディア会社は広告を売る必要があるということもSnapchatは理解している。Snapchatはまた、コンテンツのキュレーションを行っているため、広告主にとっても安全性が高いと彼は加えた。

メディアとマーケターの意識差



大手メディア会社とマーケターたちに加えられるプレッシャーは異なっていることが、このカンファレンスでは明らかになった。

イベントでは、ユニバーサルテレビジョンのプレジデントであるパーレイナ・イグボクウィ氏は、オリジナルコンテンツを作ろうとしているテック企業たちに対して若干の敵対心を見せた。「我々が作るストーリーテリングの素晴らしいところは、無形で触れないけれど、ちゃんと存在している要素がたくさんあるという点だ。いつかコンピュータが素晴らしい物語を自動で生成してくれる、なんて考えは実現しない理由はここにある」と、彼女は語った。

テレビに流す広告が、果たしてGoogleやFacebookによる広告と同じ程度、ビジネスに対する貢献をしてくれるのか証明される必要がある。テレビ広告主のあいだでは、この証明を求める声が依然として大きい。

「(広告を)ビジネスの結果につなげる方法を見つけることができなければ、(テレビネットワークが広告主に対してより高い値段を請求することができる)新しいコマーシャル体験を見つけることはできない」と語ったのは、北米オムニコム・メディア・グループ(Omnicom Media Group)投資・統合サービス部門のCEOであるジョン・スウィフト氏だ。

GoogleとFacebookが持つ力はどんどんと大きくなってきている。それに対抗するために、大手メディアと通信会社が統合を進めている。AT&Tはタイム・ワーナー(Time Warner)を買収しようとしている。ディズニー(Disney)はフォックス(Fox)の一部を買収しようとしている。イギリスにおいてはコムキャスト(Comcast)とNBCユニバーサルが、スカイ(Sky)に対して入札を行っている。ディスカバリー(Discovery)はスクリップス・ネットワークス・インタラクティブ(Scripps Networks Interactive)を買収した。ベライゾン(Verizon)は、AOLと米ヤフー(Yahoo)を合併した。

「こういった統合は非常に論理的な理由から行われている。世界はますますグローバル化しており、GoogleやFacebookと広告収入をめぐって競争しなければいけないために、グローバルなプレイヤーになろうとしているのだ。現時点では誰しもが、その方法を見極めようとしている。しかし、すべての統合がうまくいくわけではない」と、バーク氏は言った。

Sahil Patel(原文 / 訳:塚本 紺)