弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに応える本連載。今回の相談者は松村結花さん(仮名・36歳・契約社員)。

「今、別れ話が持ち上がっている彼とは、2年前に付き合い始めました。そのときに、私のアパートが更新のタイミングだったこともあって、彼の家に転がり込んだのです。当時はそのまま結婚するかと思っていましたが、同棲1年くらいになると、家族みたいな感じになってしまって、恋愛感情はなくなりました。でも私は彼を心のよりどころと言うか、支えにしていた部分がありました。

彼も掃除、洗濯、朝夕の食事の支度と、たまに作るお弁当などほとんどの家事を私に任せていたのです。だから、彼も私を便利だと思って一緒に住み続けていた部分もあると思います。別れ話をしたことはなく、お互いに”腐れ縁でズルズル付き合っている”という認識だったと思います。

しかし、先日、彼が別の女性と浮気し、妊娠させてしまい、その女性と結婚することになりました。結局、家を引き払うことになり、私はあと1か月で家から放り出されそうですが、引っ越し費用もなければ、非正規雇用なので、条件がいい部屋を借りることは難しいと思っています。

だから彼に「別のルームメイトを探すから、住まわせてほしい」とお願いしましたが、「それは無理」と言われました。というのも、彼が部屋の契約者だからです。元カノに自分の契約名で部屋を貸せないというのが彼の言い分です。

家賃は14万円、契約者は彼ですがこの、2年間、家賃は私が5万円出していました。すごく気に入っていて、本当に住みたいのですが、不動産会社の人に掛け合おうにも、彼が大家さんも契約した不動産会社も教えてくれないために、らちがあきません。

私の実家は島根県で、助けてくれる友達もおらず、家を追い出されてしまうと住むところがありません。手持ちのお金は20万円しかなく、新たに家を借りることもできません。2年間、恋人として過ごし、お互いの両親にも紹介しており、私は彼のために毎日家事を負担し、結婚を意識して生きてきました。

この場合、彼に立ち退き料を払ってもらったり、引っ越し費用を出してもらうことは、法律的にはできますでしょうか?」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……?

婚約している場合でしたら、法的に保護される交際関係といえますが、婚約に至っていない場合には、彼の浮気行為が原因で別れるのだとしても、損害賠償請求の権利性は認められない可能性が高いです。

あなたが済んでいる家の賃貸名義人も彼なので、そのまま居住を続けるのはあまりおすすめできません。

しかし、お互い協力して、互いを尊重して交際をしてきたのに、いわば彼の裏切り行為によって別れることになった上、住居環境も苦難を強いられるのは、いかにもバランスが悪いので、彼に対して話し合いを申し入れ、金銭的手当を要求するのは良いと思います。

もし話し合いが平行線の場合、調停や仲裁といった間に人を入れた話し合いの制度を利用するのもよいと思います。

仲裁は、法的根拠が乏しくても、紛争の解決に役に立つ制度なので、最寄りの弁護士会に問い合わせてみるといいでしょう。

結花さんは住み続けることを希望しているが、同じ部屋の賃貸物件の契約者を変える場合、新規契約となり、礼金と敷金が必要だと言われたという。



■賢人のまとめ
最寄りの弁護士会で仲裁の相談をするのも、ひとつの解決策です。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/