カシオは海外のアプリベンダーと業務提携した

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 腕時計(ウオッチ)メーカー各社が海外拠点の開設やスマートウオッチの新機能の提供などにより、市場を開拓する動きが活発化している。消費者の嗜好(しこう)が多様化する中、各社はターゲットを見定めてウオッチ需要の掘り起こしを狙う。一方、足元では円高基調の進行や株式相場の変調による個人消費への影響など、市場環境の先行きに不透明感もある。スピード感のある市場開拓で収益基盤を広げられるかがカギとなりそうだ。

美の聖地へ
 セイコーウオッチ(東京都中央区)は、高価格帯ウオッチの海外展開を加速している。4月には欧州で6カ国目となるイタリアに営業所を開設する。従来の代理店営業から同社直轄の体制に切り替えることで、高級ブランドの受容度が高い同国を深耕する。

 また、同月にイタリアで開かれる家具やファッションの世界最大級の展示会「ミラノデザインウィーク2018」に初めて主力ブランド「グランドセイコー(GS)」を単独出展する。「美の目利き力がある来訪者にGSの価値を感じてもらう」(庭崎紀代子取締役)ことで時計愛好家に限らずグローバルにブランド知名度を上げるのが狙いだ。

 カシオ計算機は、海外のアプリケーション(応用ソフト)ベンダー9社と業務提携して、アウトドア向けスマートウオッチの機能拡充に乗り出した。デジタル画面上で登山の地図やゴルフコースの表示、スキーのスピード測定などができるアプリを共同開発して、このほど提供を始めた。

 ベンダー9社はスマートフォン(スマホ)向けのアウトドアアプリで合計約2000万ダウンロードの実績がある。手元で情報確認ができるウオッチの利点を生かし、スマホアプリのユーザーの取り込みを狙う。

流通見直し
 シチズン時計は、買収したスイスブランドなどとの販社統合を海外市場で進め、業務を効率化する。シチズンブランドの販路に海外ブランドも投入するなど、流通の見直しも加速して消費者の多様な嗜好に応える。

 また、実店舗流通に加えeコマース(電子商取引)で手頃に商品を購入する新たな需要への対応など、流通に沿った形で商品企画を立て直す。部品製造から製品完成まで「一貫生産ができる当社の強みを生かす」(戸倉敏夫社長)ことで流通構造の変化に対応する。

 2017年のウオッチ業界は、新商品の販売や中国市場の好調などにより下期にかけて業績が上向いたが、18年に入り株式相場の変調などの懸念材料も出てきた。また、開拓を進める市場ではブランド力の強いスイス勢や、各種メーカーの開発が広がるスマートウオッチなどと競合する。
(文=田中明夫)