シリコンバレーに拠点を置くアップル、グーグル、フェイスブック、エアビーアンドビー、ウーバー……といった企業は、どうやって次々と大きなイノベーションを起こしているのか? 新刊『シリコンバレー式 最高のイノベーション』では、22ヵ国でスタートアップを支援するインキュベーター&アクセラレーター会社のCEOである著者が、シリコンバレーで起きているイノベーション成功の秘密を初公開! 小さなアイデアが大きな変革をもたらし、世の中を一変させるプロセスを、多くの実例を紹介しながら解き明かす。起業家、企業のオーナー、ビジネスパーソンを問わず、あらゆるビジネスに応用できるイノベーションのヒント。本連載では、その基本中の基本である「小さく、少なく始める」コツについて10回にわたって紹介していきたい。

大きく考えてはいけない

イノベーションを起こすには、大きなことを考えなければならないと思っている人は多い。

あなたが大企業の経営者なら、組織全体にまたがるような、大規模なイノベーションプロジェクトを実行する必要があると思っているだろう。

全員が力を合わせなければならない。

おカネに糸目はつけていられない。

これが会社の未来そのものであり、次の大きな収益の柱は、イノベーションによってもたらされる。

だが、これは真実からはほど遠い。

本物のイノベーションを起こすには、大きく考えてはいけない。

小さく考えなければいけない。

大規模なイノベーションのプロジェクトはたいてい失敗に終わる。

多額の予算、大人数のチーム、大きな結果が求められるからこそ、失敗するのだ。

ことイノベーションに関しては、たいてい一番小さなアイデアが産業を変える力を持つ。

〈ポストイット〉も面ファスナーの〈ベルクロ〉も、使い捨てカミソリもそうだ。

これまで産業に革命をもたらしたのは、いずれもシンプルなアイデアだった。

今となっては、付箋なんて当たり前で、誰でも思いつきそうに見える。

だが、それまで誰も思いつかなかった。

しかもそれは、失敗のおかげでひらめいたアイデアだった。

3Mで科学者として働いていたスペンサー・シルバーは、超強力な粘着剤を開発しようとしていた。

それなのに偶然、「粘着力の弱い」付けたり外したりできるような糊が生まれた。

5年もの間、シルバー博士はこの発明を製品化しようと試みた。

でも、誰も見向きもしなかった。

しかし、あるとき同僚が賛美歌のしおりにこの新しい糊を使おうと思いついた。

一連のちょっとしたひらめきがポストイットにつながったのだ。

偉大なイノベーションが起きたプロセスを振り返ると、同じような経過をたどっているケースが多い。

優れたアイデアは壮大なビジョンからではなく、ちょっとした実験と偶然の発見から生まれている。

壮大なビジョンは後付けだ。

発見秘話はマスコミによって書き換えられ、人々の心の中で違うストーリーができあがる。

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