財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会が6日開かれ、政府が平成32年度を目指してきた基礎的財政収支(PB)の黒字化が1年遅れるごとに、財政健全化のための追加負担が約1兆円発生するとの試算が示された。

 政府は32年度のPB黒字化という目標を断念し、6月に新たな時期を盛り込んだ財政健全化計画を策定する。財政審は試算を踏まえ、早期の財政再建が必要だと提言する方針だ。

 PBは主に税収で社会保障費や防衛費などの政策経費をどれだけ賄えるかを示す。日本は歳入不足が常態化し、30年度は16・4兆円ものPB赤字を見込む。

 財政審の試算では、仮に32年度にPBの黒字化を達成したとしても、長期的に財政の状況を安定させるには、23兆〜28兆円程度の黒字幅が必要だという。さらに黒字化を遅らせると、債務残高が増えるため、必要な黒字幅は1年ごとに約1兆〜1・2兆円上乗せされていくとした。

 さらに、医療の高度化が進むことから、「医療費が現在の想定を上回るスピードで増加する可能性もある」と指摘。「歳出分野全般にわたり聖域なく改革を行い、できる限り早期のPB黒字化達成に向け取り組むのが不可欠」と訴えた。

 安倍晋三首相は昨秋、消費税増税分の使途変更を表明し、32年度のPB黒字化は不可能となった。政府は新たな財政健全化計画の策定を進めるが、経済再生にも取り組むため、どこまで踏み込んだ財政再建策を示せるかが焦点となる。

 また、この日の財政審分科会では防衛分野についても議論した。政府は31年度以降の次期中期防衛力整備計画の策定作業に着手しており、防衛装備品の調達について効率化を進めるよう提案していきたい考えだ。

 例えば、C2輸送機については価格上昇が著しいことから「費用対効果に優れた機種への代替も検討すべきだ」と主張。また防衛省は毎年度の装備品の契約時期が遅く、予算が不用になる事態も起きているといい「契約時期の遅れが予算と執行の乖離(かいり)を生む一因となっている」と指摘した。