2月に代表取締役を3名とする人事案を公表していたUACJが、一転して山内重徳会長(69)と岡田満社長(61)が同時に退任し、次期社長となる石原美幸取締役兼常務執行役員(60)が、唯一の代表取締役となる方向で調整に入ったと報じられている。

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 古河電気工業の軽金属カンパニーを分割した古河スカイと、住友グループの住友軽金属工業との経営統合により、13年10月に発足したUACJは国内最大手が2位と統合したことで、最大手としての存在感をさらに高め、世界でも第3位に浮上していた。合併・統合企業のにありがちな役職配分により、住友軽金属工業の社長だった山内重徳氏が会長に、古河スカイの社長だった岡田満氏が社長に就任し、2頭体制がスタートした。

 2月27日に公表されたUACJ初のトップ人事案では山内会長が留任し、岡田社長が副会長、旧住軽金出身の石原美幸取締役兼常務執行役員が新社長に昇格し、3名が代表権を持つ3頭体制が打ち出されていた。問題は同日行われた記者会見の席上、岡田社長が「当面は社長を中心に執行する」と表明したものの、3名の役割分担の明言を避けたことだ。

 代表取締役は取締役会で代表者に選任された役員で、会社を代表して契約行為や裁判の対応などをする権限を有する。代表取締役が複数存在する場合には、それぞれ協議したり意見の調整をせずに、それぞれが代表として業務を執行する。3名も代表者がいて役割分担を明確にしないままでいると、意見がちぐはぐになるリスクを抱えることとなり、組織運営上のネックともなりかねない。

 しかし、3名で役割分担をした場合の代表取締役の立場というのも不思議な存在だ。単純に考えると会社の役割の1/3しか代表しないことになる。幅広い領域にまたがる判断をする場合には、他の代表取締役の同意の上で決断する必要が出て来る。これでは代表者とは言えないだろう。新米の平(ひら)部長のようなものだ。

 こう考えると、今回の決定は時間をあまり無駄にしないで、至極まともなところに収まったと言える。背景には強面の投資ファンドであるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが、UACJの発行済み株式数の6.79%を取得し古河電気工業、新日鉄住金に続く、第3位株主になると報じられたことが大きいのではないだろうか。「物言う株主(アクティビスト)」として勇名を馳せるエフィッシモは、株主提案を駆使する手強い存在だ。上位3大株主が同一行動を執るわけではないにしても、合計で39.44%にもなる持分の意味は大きい。株主総会での委任状争奪戦を考えて戦意喪失したとしても不思議ではない。

 今後の問題は保有目的を「純投資」と表現したエフィッシモが、どんな動きに出るかだろう。UACJの今年の株主総会は、結局一荒れする定めだったのだろうか?