共同記者会見をする(左から)マネックスの松本大CEO、コインチェックの和田晃一良社長=6日午後、東京都港区(宮川浩和撮影)

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 巨額の仮想通貨流出を起こした交換業者大手コインチェック(東京)と、同社を買収するインターネット証券大手マネックスグループは6日、東京都内のホテルで会見した。

 会見には、マネックスグループの松本大最高経営責任者(CEO)、コインチェックの社長に就任するマネックスは勝屋敏彦最高執行責任者(COO)、コインチェックの経営を担ってきた和田晃一良社長と大塚雄介取締役COOの4人が出席して行われた。

 会見は午後4時に開始。多くのフラッシュを浴びながら登場した4人は深く一礼した。冒頭、松本氏が今後の経営方針や体制などの概要を説明。「2カ月程度を目標に、コインチェックの金融庁への仮想通貨交換業者としての登録と、サービスの全面再開を目指す」と強調し、「いずれ新規株式公開(IPO)をして、強くしていきたい」と表明した。

 松本氏は「仮想通貨交換機能と世界の金融市場をつなぐ証券機能を中核とした、世界をリードする新しい時代の総合金融機関を創ることを目指していきたい」と力を込めた。

 その後、和田氏があいさつ。「新しい経営体制のもと、経営戦略の見直しや経営管理体制、財務管理体制などの見直しを図っていく。まず第一に顧客の資産保護を考え、その先にサービスの再開や仮想通貨交換業の登録を考えている」と述べた。

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 質疑応答に移ってからの主なやりとりは、以下の通り。

 −−経営統合によりシナジー効果はどう働くか。両社の顧客特性をどう考えているか

 松本「証券会社と仮想通貨交換業の顧客は、外国為替証拠金取引(FX)を売買するような顧客を中心に重なるとは思う。ただし、マネックス証券とコインチェックの口座数はともに170万程度あり、まったく違う顧客層もいる。特に若年層は仮想通貨の顧客の方が遙かに多い」

 「仮想通貨は金の5%を超える時価総額を持っている。これはかなりの存在感のある資産クラス。コインチェックとマネックス双方の顧客に新しい投資やトレーディングの機会の提供も可能だ。新しい技術を持っているコインチェックと、古いが伝統的なセキュリティーを持つ証券会社の技術や経験は補完でき、大きなシナジー効果がある」

 −−買収金額の36億円はコインチェックの資産を考えると低い気がするが、同社に予期せぬリスクがあるのか

 松本「特別なリスクが潜んでいるとは考えていない」

 −−和田社長にとって、成長している市場や企業の株主を手放すことに迷いはなかったか

 和田「迷いはなかった。流出事件の当初から、顧客資産の保護と業務を継続すを第一と考えていた。そのために私が代表取締役を降りるのは手段のひとつとして考えており、それにより強固な経営体制が確立できるのであれば不安はない」

 −−マネックスにとって今回の買収は良い買い物だったか。コインチェックという名前は今後残るか

 松本「名前もサービスブランドもこのまま残す。コインチェックは大きなブランド価値を持っている。M&A(企業の合併・買収)はある意味で結婚だ。買い物ではなく、コインチェックという会社と家族になって、新しい金融機関、サービスを作っていくことに興奮しており、素晴らしい出会いと契約だったと考えている」

 −−マネックス社が現在の仮想通貨市場をどう考え、どう変革しようと考えて買収に踏み切ったのか

 松本「仮想通貨は大変重要な資産クラスだ。時価総額は一端50兆円に達したが、これは無視できない規模だ。1兆円に満たないようなものだと、そのまま消えていくことがあるが、50兆円まで伸びた新しい資産クラスはこれからも大きくなっていく。仮想通貨は持ち運びも自由で、支払い手段、資産所有の手段としてもっとメジャーになることは間違いない。仮想通貨交換業者が社会的に認識され、安全なものになるために当社が手伝えることは多いと考えている」

 −−モネロなどの匿名通貨の取り扱い廃止の検討は、マネックスの子会社化後も金融庁に登録されるために必要なことと認識しているか。また、「NEM(ネム)」についての取り扱い方は

 和田「匿名性の高い仮想通貨の取り扱い廃止については、決定した事実はない。今回のマネックスの完全子会社化が直接関係するものでもない。匿名性の高い仮想通貨については、マネーロンダリング(資金洗浄)などのリスクを適切に検討した上でしっかり決断する。今回、経営体制が抜本的に変わったことで、意思決定のプロセスは変わったが、その中で適切に判断をしていく。NEMについては継続して取り扱う」