人間関係を更新していくための「お互い様」の作法

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僕は時折、イベントの開催などを告知したいという方から、「この情報をあなたのSNSのタイムラインでシェアしてくれないか」とメッセージをもらうことがあります。

こうして依頼されること自体は嬉しいのですが、きたもの全てを投稿していると、僕のSNS自体を読んでくださる方からの信頼度が下がってしまうので、「拝読して、共感できたらシェアしますね」とお返事するようにしています。僕自身が強く共感できなければ、シェアしても誰にも伝わらないと思うからです。
 
ただ、そう返すと返事がこなくなったりすることもしばしばです。そもそも、依頼メール自体が、コピペの一斉送信だとわかる文面なので、そういった機会に触れるたび、「ああ、もったいないなあ、”お願いごと”は信頼関係を築いていく上で大事なコミュニケーションなのに、これでは”私は関係をおろそかにします”と自己紹介しているようなものじゃないのかな」と思ってしまいます。
 
もちろん、僕もよく人に頼り、甘えながら生きています。だからこそ、「お互い様」ってなんだろうと、日々考えています。僕が考える「お互い様」は、「僕もあなたに頼るけど、絶対に人生の中で、あなたに恩返しするから」という気持ちで頼る関係かな、と思っています。
 
「いいお願い」をし合えているか
 
ここで大事なポイントは、お願いされた相手にとって「これは俺にしかできないもんな」と、嬉しい気持ちにさせるものであること、ではないでしょうか。
 
これは以前に記事でお話しした、「いい質問」と同じ原理です。いい質問とは、答える相手に「なるほどそんな着眼点があったか」と、インプットを与えるようなことです。

つまり、「いいお願いごと」とは、相手にとって「しょうがないなあ、俺にしかできないだろう?」と、つい腕まくりをしてしまうような、相手の心をくすぐられるようなものであり、こちらもそういう気持ちを起こさせる作法を尽くすことが大事だと思うのです。
 
例えば、僕は何か考えごとをしたりアイデアをまとめたいときに、ライターや編集者の友人らなどにぽんっとメールしてみることがあります。その段階ではまだ感情的で流動的な考えをつらつら書いたものにすぎないのですが、文章を取り扱うお仕事をされている方々はやはり言語化のプロなので、何かしら形にしてフィードバックしてくれます。
 
これは、彼らにとっても「お、言語化任せて」「ちょっと息抜きに整理してあげようかな」と、気持ちよくできることだったりします。もちろん相手が忙しい時はスルーされたりもしますが、時間があれば返してくれることも多いです。得意なことをお願いされると、嬉しいものなのです。そういう、”Its my pleasure” な気持ちを湧き起こすお願いの仕方が大事だと思うのです。
 
「君だから頼みたい」と、リスペクトを提示する
 
人にお願いするときの作法として、相手との関係性を考慮しながら、「長い付き合いだから、お互いに迷惑も掛け合いながらやっていこうね」、という前提が共有できていることも大切です。そのためには、お願いごとをするときに「あなたのこういう特技を尊敬しています。あなただからこそ頼みたい」と、きちんとリスペクトを提示するべきだと思います。
 
逆にリスペクトが感じられない一方的なコミュニケーション、例えば一斉送信メールだったり、都合のいいときだけ頼っていたりすると、相手に「搾取されてるのかな」と不安を抱かせてしまうものです。
 
とはいえ、僕も複数の人に同じお願いごとをするときがあります。そういうときは、あえてメールのテンプレ部分がはっきりわかるようにして、その文面のはじめに「あなたはこうだからこう頼りたい」、と書きます。

そして、終わりには、「これに関連して、今僕はこういうこともやってるから、興味あったらフィードバックするよ」と一言添えたりする。そうすると、相手もまた頼りやすくなったりしますよね。
 
つまり、僕が考える「お互い様」の根底にあるのは、お互いの関係性を刺激しあうことだと思います。お願い事にリスペクトを添えることで、「あなたのここがすごいよね」と暗に伝え合う。それが、僕と相手の関係をより心地いいものに更新していくのだと思うのです。

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