代表復帰を果たした本田も好アピールには至らず。どこか曖昧な戦術の下で、日本代表は連動性を欠いた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップの開幕までおよそ70日。日本代表がコロンビアと対峙するグループリーグ初戦は6月19日で、もう目と鼻の先である。
 
 先のベルギー遠征でマリと1-1で引き分け、ウクライナには1-2の敗北を喫したハリルジャパン。ポジティブに捉えられる要素はやはり少なく、本大会に向けて不安が募るばかりだが、そんなチーム状況を深く掘り下げたのが米スポーツ専門チャンネル『ESPN』だ。アジア通で日本代表ウォッチャーでもあるジョン・デュアデン記者が鋭い視点で、悩めるサムライブルーを一刀両断した。
 
「ワールドカップが近づいている。世界で興奮と期待が高まりを見せるなか、日本サッカー界はかならずしもそうではない。悩みが解消されていないのだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は3月のテストマッチを終えて『日本はまだ準備が整っていない』と話したが、まったくその通りである。日本はフォームとスタイルを見失っているのだから」

 
 記事内でデュアデン記者は、昨年8月のアジア最終予選でオーストラリアに勝利して本大会行きを決めて以降、日本は9試合で3つしか勝ち星を挙げていない事実を紹介。「その相手はニュージーランド、北朝鮮、中国だ。ブラジルとベルギーには失望に近い内容で敗北を喫し、宿敵・韓国には1-4で敗れる屈辱を味わった。そして横浜ではハイチと3-でと引き分ける有り様だ」と突き放す。そのうえで、3月のマリ、ウクライナとの2連戦は「道を正しい方向に修正する絶好機」と位置付けていたという。
 
「またしても試みは失敗に終わった。もうずっと、日本のスタイルには疑問符が付いている。今回のベルギー遠征は1分け1敗と結果が出なかっただけでなく、あらためて問題が山積みであることを強く印象付けた。ハリルホジッチは伝統的にポゼッションを重視していたチームに、カウンターアタックを中心に据える戦術を浸透させようと時間を掛けてきたが、おそらくはまるで手応えを感じていないだろう。もう(就任から)丸3年が経った。ファンとメディアはいまだ懐疑的な目を向けており、それは本大会出場を決めた最終予選の間から燻ぶっていた疑念だ。実際に解任ムードも高まった」
 指揮官の無策ぶりを断罪しつつ、実際のチームパフォーマンスを以下のように分析した。
 
「監督はなんら異なる手を打たなかった。選手個々は活動的でよくボールも動かすが、強力なディフェンス陣を相手にした場合、ファイナルサードではなんらアイデアが働かないのだ。そこかしこにスペースを与えていたし、指揮官が求めているコンパクトネスも実現できていなかった。中盤はつねに日本の強みだったはずだが、ボール回しもままならず、問題を抱えたままだ」

 
 今回は怪我の影響もあって選ばれなかった香川真司、岡崎慎司、そして久々に招集はされたものの好アピールには至らなかった本田圭佑。ファンの人気が高いこの熟練トリオについては、「経験豊富で、チームには必要な選手たちだ」と評価する。ただ、「ロシア行きの飛行機には乗るかもしれないが、ひとりもスタメンを張ることはないだろう」とし、「このチームにおいてスタメンを確保できている選手はほとんどいない」と言い切り、こう続けた。
 
「ハリルホジッチは絶え間なくチームに変化を加え、試験的な人員配置を続けてきた。その結果、ワールドカップ本番を前にした最後のテストマッチを終えても、メンバーは固まっていない。いったいベストな陣容とはどういうものなのか。監督自身が、もっとも強力なメンバーがどれなのかを分かっていないのだ。もう時間切れが近づいている」
 
 同記者は結びに、8年前の南アフリカ・ワールドカップ時の顛末を引き合いに出した。直前のテストマッチで散々な出来だったチームを、当時の岡田武史監督が斬新な方向転換でV字回復させたように、今回もファンはその再現を期待しているだろうと──。
 
 そして、「指揮官が話している通り、『なすべきことは山ほどある』」との一文で論説を締めた。