三井住友銀行本店ビルディング(「wikipedia」より)

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 3月期決算の上場企業は、6月に株主総会を迎える。2月期決算が多い小売業は5月に総会を開く。それらの多くの企業では、顧問・相談役の扱いが焦点のひとつとなる。

 東京証券取引所は2017年8月、18年以降に提出するコーポレート・ガバナンス報告書について、顧問や相談役の詳細を記す欄を加えた。顧問、相談役の氏名や経歴、常勤・非常勤といった勤務形態、報酬などの開示を促している。開示は任意だが、開示しない場合は投資家に理由を説明することが求められている。

 顧問・相談役についてすでに開示した企業で、もっとも人数が多かったのは三井住友フィンシャルグループ(SMFG)の9人。持ち株会社のSMFGと傘下の三井住友銀行(SMBC)や前身の住友・さくら両銀行の会長・頭取経験者9人が名誉顧問(終身)や特別顧問(任期最長6年、72歳未満)に就いている。特別顧問は1人で、残りは無報酬の名誉顧問。相談役は2002年に廃止している。

 特別顧問は財界活動など社外活動に従事しており、退任後には名誉顧問になる。特別顧問は年間報酬5220万円で、執務室・社用車・秘書の3点セットが付く。

 SMFGの名誉顧問は奥正之氏(元SMFG会長・SMBC頭取)である。SMBCの名誉顧問は巽外夫氏(元住友銀行会長・頭取)、末松謙一氏(元さくら銀行会長・頭取)、橋本俊作氏(元さくら銀行頭取)、森川敏雄氏(元住友銀行会長・頭取)、高粼正弘氏(元さくら銀行会長)、西川善文氏(元SMFG社長・SMBC頭取)、岡田明重氏(元SMFG会長・元SMBC会長)の7人。特別顧問は北山禎介氏(元SMBC会長・SMFG社長)の1人。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行は、歴代頭取経験者が就いていた相談役を廃止する。MUFGの相談役の廃止で、3メガバンクから相談役制度はなくなる。

 三菱UFJ銀行は現在、08〜12年に頭取だった永易克典氏が相談役を務めているが、今年6月に任期が切れる。12〜16年に頭取を務めた平野信行会長(MUFG社長)は今後、相談役にならず、相談役は廃止となる。

 一方、約20人いる顧問は廃止し、新設の特別顧問は11人で原則として任期を設ける。豊富な経験を社外活動に生かす場合には、業務内容や報酬のあり方などを含めて開示する。任期を超える場合には報酬ゼロとなる。ほかにも無報酬の名誉顧問も設ける。

●顧問・相談役が院政の温床に

 このように、実に細かく顧問・相談役の実態を公表しなければならなくなる。かなりの高齢で、対外的な活動もしていないのに報酬だけ受け取っていたら、株主総会で会社側は説明に窮する。

 そのため、開示に二の足を踏む上場企業も出てくる可能性もある。社長や会長を辞めた後、顧問や相談役になるのは日本特有の慣行といえる。会社法に定めのない役職で、権限や責任ははっきりしない。それでいて経営の“先輩”としてトップ人事に介入するなど、院政の温床になる。

 東芝では、相談役たちによるトップ人事をめぐるバトルが、迷走する最大の原因となった。

 株主主権を謳うコーポレート・ガバナンスの強化で、株主に説明ができない相談役や顧問を廃止する企業がすでに出てきている。

 17年中に、資生堂やJ・フロントリテイリング、日清紡ホールディングスが廃止を決めた。さらに18年に入って、日本たばこ産業、カゴメ、伊藤忠商事、パナソニックが廃止を発表した。

 神戸製鋼所は社長経験者が就いていた相談役制度を廃止する。アルミ、銅製品部材などの品質改ざん問題で3月末に引責辞任する川崎博也会長兼社長は6月、新たに設ける役職の特任顧問に就く。相談役には報酬があったが、特任顧問の報酬はその都度判断するとしている。川崎特任顧問はどうなるのか。関心は高い。

 株主総会で、どのくらいの企業が相談役・顧問の廃止の方針を打ち出すのか。そして総会後に東証に提出される有価証券報告書に、顧問・相談役について、どんな記載がなされるのか。

 今年の株主総会の見どころのひとつである。
(文=編集部)