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●スローガンを変えた理由

KDDIは5日、新社長に就任した高橋誠氏の社長就任会見を開催した。今後の目指すべき姿として「ワクワクを提案し続ける会社」という言葉で表現。新体制のもと、KDDIが大きく変わっていくかもしれない。

○変わるスローガン

KDDIはこれまで「ライフデザイン企業への変革」というスローガンを掲げてきた。しかし、漠然としたイメージが強く、社内からは通信からEコマースや電力事業に移行してしまうのか、といった疑問の声があがり、社外からも「そもそもライフデザインとは何か?」といった声も聞こえてきたという。

ライフデザインのイメージについて高橋社長も「Eコマース、金融、エネルギー、教育という言葉で表現され少し無機質な感じがしていた」話す。そこで目指すべき姿として「ライフデザイン企業への変革」ではなく「通信とライフデザインの融合」を事業のベースにし、ライフデザインを「ライフデザイン=生活を楽しくすること=お客様体験価値」と置き換え表現した。

そして、顧客とともに顧客視点でサービスを考案し、KDDI単独もしくはパートナー企業とともに新たな価値の創造と提供を図ろうという考えだ。

こうした価値観をまとめると、事業の中心軸に「通信」「お客さま」があり、金融、エンタテインメント、教育、エネルギー、コマースなどの様々な分野に、生活を楽しくする体験価値を提供していくという流れだ。

中心軸に据えた「お客さま」については一歩踏み込んでおきたい。顧客視点でサービスを開発していくために、KDDIではビッグデータの活用を顧客理解にあてていくという。5G、AI、IoTといった新技術を用いてサービス展開をするにあたっても、顧客が何を求めているのかがわからなければ、サービスを提供しても響かないからだ。

「最新技術をどう体験価値に返還するのかが勝負所。5GやAIという言葉から入るとプロダクトアウト的な感じがする。簡単なことではないが、体験価値を届けていきたい」

これら一連の考えをまとめてワンフレーズにしたスローガンが「"ワクワクを提案し続ける会社"へ」というわけである。

●KDDIが示したワクワクの例

○ワクワクの提案とは何か

それでは、どんなサービスが該当するのだろうか。就任会見では、具体例に相当するものがいくつか提示された。ひとつが、ECサイトの「Wowma!」だ。高橋社長は「単なる物販サイトにするつもりはない。体験価値を提供する入り口にする。ワクワクしてもらえるように社内で議論している」という。

次がau WALLETだ。キャッシュレス生活の実現も人をワクワクさせるものであり、進化させていく。こうした考えのもと4月5日からは、au WALLET プリペイドカードで残高不足に陥った際、不足分をチャージするリアルタイム機能の提供や個人間送金(au WALLET プリペイドカード利用者同士)、じぶん銀行への「払出」機能も追加した。

スポーツマッチングビジネス「Now Do」への参画も具体例として挙げている。Now Doはプロサッカー選手の本田圭佑氏が代表を務め、スポーツ選手の育成や現役を引退した選手の新たなサービスチャンスの創造を目的とした会社だ。

その同社がスポーツを習いたい人がサイト上でトレーナー手軽に見つけられるマッチングサービスをインターネットスポーツメディアのスポーツブル(運動通信社が運営)上で5月からサービス提供する予定だ。KDDIは運動通信社と協業・出資の関係にあり、パートナー企業とのサービス提供でワクワクを提供したい考えのようだ。

このほか、AR、VR、MRなどを活用した体験価値の創出も図る。イメージとしては、自宅の部屋をスタジアムにしたり、遠距離恋愛を近距離恋愛にするといったものだ。

●ワクワクを提供し続けていくために

○サービス創出のために

こうした様々な展開を考えつつも、ワクワクを提案し続けるには、サービスの開発・創出が必要になってくる。そこで、KDDIはIoT、5G時代を見据えたビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を東京・虎ノ門に今夏オープンする。専門性の高いパートナー企業との共創により、価値の高いサービスの創出に取り組む考えだ。

また、IoT、5G、AI、ビッグデータ関連のベンチャー企業への投資を進めるべく、新ファンド「KDDI Open Innoovation Fund 3号」を設立する。同ファンドではKDDIほか、KDDIグループの知見やネットワークを活かしつつ、5年間で総額200億円の投資を行なっていく。投資によりワクワクを生み出すサービス提供への道も切り開かれそうだ。

新体制のもとKDDIは「"ワクワクを提案し続ける会社"へ」の変貌を図る。かつてはサービスが横並びと評されたこともある大手キャリア。新ステートメントがKDDIならびにグループに深く浸透すれば、他社とのさらなる差別化において効果を発揮しそうだ。先々、どんなワクワクを提案してもらえるのか、今から楽しみだ。