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 テスラと言えば、昨年暮れの決算は19憶ドルの赤字となり、キャッシュフローでは34憶ドルの赤字で、いよいよ資金繰りに詰まってきている。当のイーロン・マスクCEOは意に介していない様子で、4月1日にエイプリルフールのジョークとして「テスラは破綻した」とツイートした。しかし、冗談とだけとも受け取れない株主もいたようで、株価が8%下落した。発売予定のスポーツカーの予約金も資金繰りに繰り入れたようだ。また車両リースも債権化するといった、破綻間際の様相だ。

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 悪いニュースがさらに悪く受け止められてしまうようで、「モデルX」が中央分離帯に激突する事故が起きたが、捜査当局の動きを待たずにテスラが独自に事故を公言したことが批判されている。「モデルS」の欠陥でリコール12万3千台がすでに伝えられているが、イーロン・マスクは「リコールについてはテスラは1件だけ」と澄ましているようだ。

 一方で、昨年最終週の生産台数は793台だったが、1〜3月期最終週の生産台数は2020台と伝えられて株価も一段落したようだ。どちらにしても、テスラに関する情報は株価を気にする投資家たちの視点であるので、表面的見方でしかない。テスラの業績が安定するには生産台数だけでなく、不良率なども加味しないと当面の利益すら確定できない。安定するには生産体制そのものの検討が必要で、「持続可能なビジネスモデル」を構築できたか、検証することが大事だ。サプライヤーとの取引状態も見ないといけない。何よりも労働条件など社員との安定した関係が必要だ。

 こうしていくうちに、イーロン・マスクも、「製造」とは制御プログラム開発と違い、莫大なシステムを起動できなければ成立できないことに気づいているだろう。いま懸命に努力している製造努力が実を結ぶまでには少し時間がかかるが、いずれイーロン・マスクは問題を解決して車製造に成功できる才能があると信じてあげることだ。

 ソフト開発は一般に言われているほど難しいことではなく、習得も才能次第で時間はかからない。しかし、「製造」は、実用の大量生産となると、才能だけでは到達できない。組織員の協力と「行動動機」が必要で、「人間の精神的統合」など人の気持ちにかかわる部分もあり、広大な分野の専門的知識が必要となる。これをソフト開発者、並びに金融技術者に理解してもらわねば、テスラのような製造会社は成功できない。システムの発想と組み立てだけでは現物が出来てこないのだ。

 株の投資家とファンド経営者、そしてシステム開発者には、机上論で出来上がらない「製造の機能」をシステムとして理解してもらいたい。「匠の技」や「品質管理技術」の実践には、才能だけではどうにもならない「経験」も必要になってくる。モチベーション・コントロールの技も必要となる。「経営技術・管理技術は日常業務とは別に存在する」ことに早く気づいてほしいものだ。