撮影/織田曜一郎

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 まず最初に、この記事が私信めいたものになることを断っておく。この記事は、刑事訴追のおそれがなく、そして土地取引に関する真実を知る立場にある唯一の人物、籠池氏の代理人を当時務めていた酒井康生弁護士へ宛てた私信となるだろう。

 前回の記事(参照:『政権の「佐川主犯」物語に終止符! 一年前のある発言から明らかになる「綻び」』)に引き続き、今回も「財務省は、決裁文書の改竄をいつ決意しいつ着手したか」についてその「時点」を特定することがテーマだ。

 4月4日、NHKが衝撃的なスクープを出した。(参照:NHK「財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で」)

 報道によれば、昨年2月20日、財務省理財局は、学校法人森友学園側に「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう「口裏合わせ」を依頼していたというのだ。

 また、NHKはニュース原稿の中で、この「口裏合わせ」が2月20日に行われたことに注目し、「当時、国会では「値引き額の算定の根拠があいまいだ」などと批判が相次ぎ、去年2月17日の衆議院予算委員会で財務省は「8億円かけてごみを撤去するとなればダンプカー4000台分ぐらいになる。実際に撤去されたか確認したのか」などと野党側から追及されていました。」と、「口裏合わせ」の実施日の3日前におこなわれた国会での質疑の内容に触れている。

 2月20日と2月17日――。前回の記事が注目した日付と全く同じだ。

◆やはり「始点」は2月17日だった!

 今回NHKが公表したスクープと、前回の拙稿をならべると、2017年2月17日を始点として、財務省が様々な隠蔽工作を行ってきたことが立体的に理解できる。

 箇条書きで整理しよう

2月17日金曜日:
 衆院予算委員会にて民進党福島伸享議員(当時)による質問。この質問にて福島議員は「ゴミは本当にあったのか」等を問いただすとともに、安倍昭恵の森友学園への関与を問いただす

 これに対し答弁にたった佐川理財局長(当時)は、「学校を建設するにあたって必要な廃棄物の撤去を適切に行ったというのは近畿財務局で確認している」等と答弁。また、安倍晋三総理は「私や私の妻や私の事務所が関係していたら、総理も議員もやめる」と答弁

2月18日土曜日:
 土曜日のため国会全休

2月19日日曜日:
 日曜日のため国会全休

2月20日月曜日:
 財務省より森友学園側に口裏合わせの依頼。学園側はこれを拒絶(NHK報道)
 籠池、深夜にTBSラジオ電話出演。その後、財務省からの依頼による逃避行に出る(前回記事)

 こうして並べると、財務省側の隠蔽工作が「2月17日の国会答弁」を起点としていることは疑いの余地はない。むしろ2月20日に行われた「口裏合わせ」と「籠池の逃避行」を「2月17日国会答弁と関係ない」と言い張るほうが無理があるだろう。

 そして2月20日、森友学園側がとった対応の内容も注目に値する。財務省からの「口裏合わせ」を拒否しつつも、籠池の逃避行には応じているのだ。これはつまり森友学園側から財務省に対して、「嘘はつかないが、黙ることはできる」という意思表示ではないのか? そしてもしそうであるならば、森友学園側の対応は「社会人の流儀」としては極めて正しいとは言える。いかに中央官庁からの依頼とはいえ事実を曲げることはできない。エビデンスのないことを言うことはできない。しかし、学校建設プロジェクトの一員として「余計なことは言わない」ことはできると、森友学園は判断したのだろう。

 だとすると、酒井弁護士。

 あなたは、昨年2月20日、「社会人としては極めて正しい」判断をしたことになる。あの日あなたが下した判断は「瑞穂の国記念小学校建設プロジェクトの代理人」として極めて正しい。クライアントである森友学園の目標と関係者である財務省の意図を、弁護士として整合性をもって融合させるためには、この判断しかあるまい。