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auやドコモが「新プラン」を打ち出したが……

2017年7月、auは「ピタットプラン」「フラットプラン」という新しい料金プランを発表した。2つのプランは17年11月時点で300万契約数突破と好調。auに先立ち、ドコモも5月に「シンプルプラン」を新設している。

それらの新プランは従来よりも利用料が安くすむことをうたっているが、恩恵を受けられるユーザーは限定的だ。

ドコモのシンプルプランは、家族間での通話は無料だが、データ容量を家族で分け合う「シェアパック」への加入が必須だし、2年の定期契約(いわゆる“2年縛り”)の有無でも月額基本料金が変わる(有・980円、無・2480円)。国内通話は30秒20円の従量課金、パケットパック、インターネット接続サービスなどの料金も加算される。単身者や、家族以外と頻繁に通話する人なら、従来のプランから乗り換えるメリットは感じられない。

auのピタットプランは、使ったデータ量に応じて定額料が変動する。払いすぎる心配がないことは魅力だし、最低料金(データ量1ギガ未満)が1980円と割安感はあるが、この金額は「auスマートバリュー」(「auひかり」への加入などが条件)、契約から1年限りの「ビッグニュースキャンペーン」、そして「誰でも割」(2年縛り)が適用された場合の話。

■「MVNOの終わりの始まり」は間違い

つまり、大手キャリアのプランでスマホ利用料金を下げるのは、依然として難しい。1番簡単な節約方法は、MVNO(仮想移動体通信事業者)への移行だ。

MVNOは大手キャリアから通信網を借り受けて、格安スマホや格安SIMなどのサービスを展開する。大手キャリアのサブブランドも含めれば、MVNOのシェアは17年、1割を超えた(MMD研究所調べ)。

大手キャリアの新プラン登場時には、「MVNOの終わりの始まりだ」という論調のニュースも見受けられたが、上記のような理由から、ニーズは当分なくならないだろう。

■本体価格7800円の格安端末もある

大手キャリアは店舗があちこちにあり、対面で相談でき、端末が故障すれば、すぐに代替機を用意してもらえるのが強みだった。一方のMVNOは顧客とのやり取りをネット対応に絞ることが多かったが、最近では、楽天モバイルなど、積極的に店舗を新設するブランドもある。

ただ、MVNOには、大手キャリアのような音声通話かけ放題のプランは多くない。頻繁に電話をする必要があり、なおかつLINEなどの無料通話をビジネス上で使用するのに抵抗がある人は注意が必要だ。

だが、「そろそろ子どもにスマホを持たせるか」という親世代は、自分たちは無料通話に抵抗があっても、子どもにはMVNOで十分だと考える人も多いだろう。スマホ本体にしても、たとえばNTTレゾナントが「gooのスマホ」として販売する「g06+」は税抜き7800円。これなら子どもに持たせても惜しくない。

通信費は(保険や住宅ローンと比べて)軽視されがちな分野だが、生涯の支出を考えれば削減効果は大きい。

17年12月、フリーテルを運営するプラスワン・マーケティングが民事再生法の適用を申請したが、MVNO事業は楽天モバイルに譲渡済みであるため、ユーザーに直接的な不利益は出なかった。ユーザーを抱えたまま倒産し、社会に大きな影響を与えない限り、MVNOへの移行はゆるやかに続いていくはずだ。

(ファイナンシャルプランナー 関口 輝 構成=唐仁原俊博 写真=iStock.com)