ソーシャルメディアプラットフォームが動画志向に転換するなか、パブリッシャーたちもそれに適応するようになっている。しかし、ポッドキャストは、その動きからとり残されている。この音声形式媒体は、いまだパブリッシャーたちの活動に寄与しているが、製作者はソーシャルメディア上で関心を引くために、より一層クリエイティブであることが必要だ。

「ソーシャルメディアプラットフォームはとても視覚的だ。彼らは動画に非常に力を入れている」と、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)のソーシャルメディア戦略エディター、マイケル・ゴールド氏は述べる。しかし、そのデフォルトのフォーマットでは動画は音声なしの状態、一方音声形式媒体は音以外に頼るものがない。

このため、ポッドキャストチームは、ソーシャルメディア上でコンテンツを発見してもらえるように取り組まなければならない。オーディオおよびソーシャルメディア制作者たちが試みている戦略のひとつに、音声を短い動画クリップに変換して自分たちのポッドキャストを宣伝するというものがある。ラジオ局のWNYCは、ポッドキャストからオーディオグラムを作成するためのオープンソースツールを作成した。ニューヨーク・タイムズはWNYCのツールに手を加えたものを使って同様のことを行っている。スペアミニッツ(SpareMin)といった、ほかの無料アプリも利用可能だ。

こうしたクリップは効果があることがわかっている。「それらは非常に関心をひき、より多くのコメントやシェアを生みだしている」と、アメリカの公共ラジオネットワークであるNPR(National Public Radio)が配信しているスペイン語ポッドキャスト「ラジオ・アンブランテ(Radio Ambulante)」のエンゲージメントエディター、ホルヘ・カラバーリョ氏はいう。「より多くのコメントとシェアを得ている」。

長いものには巻かれろ



パブリッシャーたちも動画フォーマットをうまく利用している。録音中にライブ配信をしたり、舞台裏の映像を投稿したりするなどのアイデアを試しており、いいね!やシェアなど、レスポンスの急増へつなげている。「彼ら(オーディエンス)はそうしたやりとりに参加しており、こうした動画を利用する日は増えてきた。また、エピソードの売り込みに役にも立っている」と、カラバーリョ氏はいう。

「動画を利用しないと停滞してしまう。そして1万ダウンロードを超えることはできなかった」と、ポッドキャストのヘイ・フレイズ(Hey Frase)のプロデューサーでありコンテンツプロバイダーのアンドレア・ラケル氏は語った。「レコーディングの様子を動画にしはじめて、最大の伸びを記録した。ダウンロード数3万5000の達成は2カ月だ。この業界で大きなダウンロード数を誇るほかのインフルエンサーやポッドキャスターを知っているが、我々が動画を使わなければ、彼らと張り合うことすらかなわない」。

動画はオーディエンスにリーチするために有効だが、パブリッシャーたちはリスナーとの関係をはぐくむことも必要だ。「ラジオ・アンブランテ」などは、ニュースレターを利用している。週に2回ニュースレターを発信して、これからのエピソードをおもしろおかしく紹介したり、おすすめエピソードを知らせたりしている。

「(公共放送のため)自分のオーディエンスとの関係構築に民間企業を頼ることはできない。Facebookに依存してしまえば、変更のたびに苦労することになる」とカラバーリョ氏はいう。「オーディエンスにリーチするためにアルゴリズムに依存はしない」。

Facebookのグループ



パブリッシャーたちは、FacebookやWhatsAppのグループを使って、ポッドキャストの宣伝も行っている。

ニューヨーク・タイムズには2万3000人を超えるメンバーがいるニューヨーク・タイムズ ポッドキャストクラブ(New York Times Podcast Club)というFacebookグループがあり、自社のポッドキャストを宣伝すると明確に打ち出してはいないが、メンバーたちは宣伝を行っている。「我々がポッドキャスト、ザ・デイリー(The Daily)の宣伝をしなくても、みんなが話題にしてくれる」と、ゴールド氏は述べた。「我々にはグループに忠実なオーディエンスがあり、別の方法で同じ反応を得ることはできない」。

「ラジオ・アンブランテ」は、ポッドキャストリスナー用にFacebookとWhatsAppでグループを設けており、コミュニティを作り出すことを目標にしている。Facebookグループには700名を超えるメンバーがいる。WhatsAppグループに関してはメンバー数を番組が公表することはないようだ。「このグループは本当に忠実なフォロワーたちのためのもの。自分の仕事を常に宣伝し続けていると、時間がないときに人は関心を向けてくれなくなる。我々はいつもその他のラテンアメリカのニュースを目玉にしている」と、カラバーリョ氏は語った。

制作者たちは、ポッドキャストのホストも頼りにして、ソーシャルメディアを通じて自分たちのポッドキャストを宣伝している。たとえば、コラムニストでありワシントン・ポスト(The Washington Post)のポッドキャスト、「ケープ・アップ(Cape Up)」のホストであるジョナサン・ケープハート氏は、TwitterやFacebookで彼にエンゲージしているリスナーたちに語りかけていると、ワシントン・ポストのオーディオディレクター、ジェシカ・スタール氏は述べる。

「これらのプラットフォーム上で人々がポッドキャストを発見してくれることがわかっている。なぜなら、彼がそのことについて語り、興奮し、その様子を人々が目にしているからだ。本当によくあるツイートは、聞き方を教えてほしいという訴えだ」と、彼女は述べた。

しかし、これらの戦術はすべて、ポッドキャストのリスニング行動が、情報が目の前を通り過ぎていくFacebookやTwitterの性質とは逆のものであるという事実によって強調されている。「ニュース記事と同じようにポッドキャストの宣伝はできない。そのことは最初に動画で学んだ。そして、いまはポッドキャストでそれを学んでいるところだ」と、ゴールド氏は語った。

Aditi Sangal(原文 / 訳:Conyac)